「サポーターの方々の応援は本当に力になるんです。おそらく、サポーターの方々が思っている以上に選手にとっては力になっていて。ピッチでプレーしていても声が耳に入ってくるんですよ。それが苦しい時の最後の一歩を出させてくれているのは紛れもない事実です。特に今はピッチとの距離が近いですから」
チームとサポーターの「近さ」。これが南葛SCの特徴だという。
「下町の葛飾区という地域が、まず親しみやすいという特徴がありますよね。そこに『キャプテン翼』という世界的な少年マンガが加わることでより親しみが増すといいますか。1980年代に連載されていた世代の読者にとっても、春まで放送されていた新しいアニメを観た子どもたちにとっても、より身近に感じるクラブ。葛飾区と『キャプテン翼』の相性っていいですよね」
『キャプテン翼』は主人公・大空翼の成長ストーリーだ。作者の高橋陽一先生はそんな翼の姿から、子どもたちを中心とした読者に夢に向かって突き進んでもらいたいと願って描いている。その願いがチームカラーに色濃く反映されているのが南葛SCだ。
そう考えると、選手兼コーチの柴村と南葛SCのやろうとしている方向が重なっていることに気づく。向上心を持ち=成長し、サッカーを通して周囲に恩返しする=みんなに夢を与える。つまり、南葛SCと柴村直弥という人物の相性もいい。では「関東リーグ昇格」という形で恩返しを実現できるか――勝負の秋が始まる。
(このシリーズ了/文中敬称略)
取材・文●伊藤 亮
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