福西崇史監督が指揮を執る南葛SCが東京都リーグ１部で好スタートを切っている。漫画『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一氏が代表を務めるチームは、開幕戦で明治学院大スカーレットに２-２の引き分けとしたものの、２節以降はZION FCに４-１、FC OSSAに６-０と快勝して２連勝。優勝候補の前評判通りの実力を見せつけている。
 
　チームの強化を預かる岩本義弘ゼネラルマネージャー（GM）は、まずは当面の目標となる関東リーグ昇格へ向けて、シーズン開幕前には大胆な補強とチームの環境整備に尽力。勝負となる11月の関東社会人サッカー大会を見据えて動いてきた。
 
　果たして、南葛SCは東京都リーグ１部を上位通過し、関東社会人大会を勝ち抜くことができるのか。岩本GMに今シーズンに懸ける決意とチームへの期待を伺った。
 
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　開幕戦を２-２のドローで終えた試合を振り返って、岩本GMはやや焦りを感じていたという。
「このオフは、二つ上のカテゴリー、つまり関東１部でも優勝争いをできるようなチームを念頭に補強したつもりです。情報サイトにも圧倒的な本命と書かれているくらいで。それがいきなり開幕戦で引き分けてしまったので……」
 
　J１から数えれば実質７部の地域リーグとはいえ、東京都リーグは元Jリーガーが在籍するチームも複数ある激戦区だ。開幕戦で当たった明治学院大スカーレットも、同大サッカー部のサブメンバーを中心に構成されているが、今季から元柏レイソル監督の加藤望氏をトップチームの指揮官に迎えて強化を図っている。岩本GMも、「相手はすごくよく動いて前からきっちりプレスをかけてきました。明治学院大はいま強化にすごく力を入れているチームですし、大学生は当然毎日練習できる環境ですから、簡単ではありませんでしたね。試合を観た人のツイッターにはJ３と比べても変わらないレベルなんじゃないかというコメントもあるほどでした」と、大学生チームといえども強敵だったと認める。
 
　もちろん、開幕戦や昇格に対するプレッシャーがあっただろうが、ブラジル人選手の登録の遅れや出場停止などで、主軸数名を欠いたのもチームには痛手だった。さらに、岩本GMは対戦相手との相性という面でも、序盤戦はある程度の苦戦を予測しているようだった。
 
　岩本GMはリーグの傾向について、「しっかり守って縦に速いチームがすごく多い。だけど、アマチュアって東京１部に限らず圧倒的にそうです」という。そうしたカウンター型のチームが大多数のなかで、南葛SCを率いる福西崇史監督はポゼッションをベースにしたサッカーを展開。「それこそジュビロの黄金期でやっている人。監督も単に守ってスペース目掛けて蹴るだけのサッカーはしたくないと言っているので」と、パスをつなぎながら人数をかけて攻めるスタイルを貫いている。
 
　そうなれば、相手チームの狙いは明確になる。攻撃的なサッカーを展開する南葛SCの背後をカウンターで突いていくのは常套手段と言えるだろう。ただし、岩本GMはむしろ、そうした展開は望むところなのだという。
 
「結局、11月の関東大会もそういうチームばかり。ほぼそうなんです。だけど、東京都リーグの時からそれをやられていると、守られた時の崩し方とか、そういうことがしっかりできてくる。がっつり守られたところを崩してしっかり勝つという、それこそ僅差でなくて圧倒して勝っていければ、11月の大会で昇格できる確率も自ずと上がってくると思いますから」