あのハリルホジッチ監督がかつて危機から救ったクラブ、LOSC。

フランドルの伝統を守りながら、欧州の他文化とも融合したリールには、独特の風情が漂う。写真は2年に一回開催される国際文化イベント「リール3000」の盛大なオープニングセレモニー。 (C) REUTERS/SUN
過去2回は南の都市を巡ってきましたが、今回は再び北上。今回紹介するのは、ベルギー国境に近いリール(人口約23万)です。
パリからTGVに乗ってあっという間の1時間。駅名を見るだけで、この街の特徴が分かります。
「リール・フランドル」駅と「リール・ユーロップ」駅――。
そう、この街はフランスでありながら、「フランドルの首都」のニックネームと、「欧州の交差点」という別名を持つ、独特の伝統文化に彩られた街なのです。その魅力がぎっしり詰まった広場、通称「グラン・プラス」へも駅から徒歩で行けます。
これについては後でじっくり触れるとして、まずはいつも通り、フットボールから紹介しましょう。
――◇――◇――
この街のクラブ、「リール・オランピック・スポルティング・クラブ(通称LOSC)」は、意外な古豪です。
第2次世界大戦後の1946年には「戦争マシン」とまで呼ばれ、リーグとフランス・カップの二冠を達成。後者に至っては、47年、48年と3連覇を果たし、伝説となりました。
ところが60年代に大危機に見舞われてプロ資格を喪失し、アマから再出発。出口の見えない、長く暗いトンネルが続きました。そこに到来した救世主が、「コーチ・ヴァイッド」こと、ヴァイッド・ハリルホジッチ現日本代表監督だったのです。90年代末のことでした。
「ヴァイッドは、大きな思い出を残してくれた。今でも、この街の者は誰ひとりとして、彼のことを忘れていない」
こう話すのは、地元有力紙『ラ・ヴォワ・デュ・ノール』で20年来、フットボールを取材しているリシャール・ゴット記者です。
「LOSCの新たな歴史は、ヴァイッドから始まった。あそこから、リールは今の姿になったんだよ。彼もリールを愛していてね、今も、リール北東のシックな郊外に自宅を構えている」
ハリルホジッチ監督は当時、LOSCを2部から1部に昇格させ、さらにはチャンピオンズ・リーグ出場にまで導くという快挙を果たしました。彼によって立て直されたチームは、クロード・ピュエル、リュディ・ガルシアといった有能監督に引き継がれていきました。
そのこともあって、今回のEURO2016では、ハリルホジッチ監督が、リールのシティーアンバサダーを務めているのです。
ちなみに、昨年11月からLOSCを率いているのは、こちらも日本に縁があるフレデリック・アントネッティ監督(98~99年にガンバ大阪を指揮)です。就任時は下位に低迷していましたが、34節終了時点で6位にまで浮上しており、ヨーロッパリーグを狙える位置にこぎ着けています。
パリからTGVに乗ってあっという間の1時間。駅名を見るだけで、この街の特徴が分かります。
「リール・フランドル」駅と「リール・ユーロップ」駅――。
そう、この街はフランスでありながら、「フランドルの首都」のニックネームと、「欧州の交差点」という別名を持つ、独特の伝統文化に彩られた街なのです。その魅力がぎっしり詰まった広場、通称「グラン・プラス」へも駅から徒歩で行けます。
これについては後でじっくり触れるとして、まずはいつも通り、フットボールから紹介しましょう。
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この街のクラブ、「リール・オランピック・スポルティング・クラブ(通称LOSC)」は、意外な古豪です。
第2次世界大戦後の1946年には「戦争マシン」とまで呼ばれ、リーグとフランス・カップの二冠を達成。後者に至っては、47年、48年と3連覇を果たし、伝説となりました。
ところが60年代に大危機に見舞われてプロ資格を喪失し、アマから再出発。出口の見えない、長く暗いトンネルが続きました。そこに到来した救世主が、「コーチ・ヴァイッド」こと、ヴァイッド・ハリルホジッチ現日本代表監督だったのです。90年代末のことでした。
「ヴァイッドは、大きな思い出を残してくれた。今でも、この街の者は誰ひとりとして、彼のことを忘れていない」
こう話すのは、地元有力紙『ラ・ヴォワ・デュ・ノール』で20年来、フットボールを取材しているリシャール・ゴット記者です。
「LOSCの新たな歴史は、ヴァイッドから始まった。あそこから、リールは今の姿になったんだよ。彼もリールを愛していてね、今も、リール北東のシックな郊外に自宅を構えている」
ハリルホジッチ監督は当時、LOSCを2部から1部に昇格させ、さらにはチャンピオンズ・リーグ出場にまで導くという快挙を果たしました。彼によって立て直されたチームは、クロード・ピュエル、リュディ・ガルシアといった有能監督に引き継がれていきました。
そのこともあって、今回のEURO2016では、ハリルホジッチ監督が、リールのシティーアンバサダーを務めているのです。
ちなみに、昨年11月からLOSCを率いているのは、こちらも日本に縁があるフレデリック・アントネッティ監督(98~99年にガンバ大阪を指揮)です。就任時は下位に低迷していましたが、34節終了時点で6位にまで浮上しており、ヨーロッパリーグを狙える位置にこぎ着けています。

就任3年目の00-01シーズン、1部リーグに昇格したばかりのリールを3位に導いたハリルホジッチ監督。リーグの年間最優秀選手にも輝いた彼はこの街の英雄として市民栄誉賞を受賞し、フランス政府からは選手時代の功績も併せてレジオンドヌール勲章を授与された。 (C) REUTERS/SUN