【浦和】地獄と天国を2往復。証言から紐解く「ソウルショック」の敗因と収穫

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2016年05月27日

強心臓ぶりを発揮した遠藤。「ここでチームに貢献しないで、いつするんだという気持ちだった」とPKキッカーに名乗り出る。

PKでは2番目のキッカーを務めた遠藤。その強心臓ぶりは、浦和にとって頼もしい“武器”となりそうだ。写真:徳原隆元

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 浦和でPKを蹴らなかったのは、両足の内転筋をつっていた興梠、120分間走り続けた柏木と槙野。もはや身体的にも、心理的にも、限界を超えた状態だったに違いない。それでも普段レギュラーの座が確約されている中心選手が、この状況下でチームに力を貸せなかったという事実も残った。そのことが今度、チームにどのような影響を及ぼすかは、やや気になるところではある。
 
 そんななかで「強心臓ぶり」を発揮したのが遠藤だった。
 
 29分にトラップミスからボールを奪われ、FCソウルに先制点を与える痛恨のミスをしていた。しかし、そこから挽回し、身長187センチのFWダムヤノヴィッチに空中戦を含めほぼパーフェクトに競り勝ち、アドリアーノとの1対1も確実に仕留めた。
 
「試合に勝てなかっただけに、このショックは大きいです。
 
 自信を掴みかけていたところでの敗退。成長につながったとうよりも、今回は不完全燃焼に終わったという気持ちのほうが強いですね」
 
 PK戦のキッカーには、自ら名乗りを挙げた。この状況下で、彼はミスを取り返す“チャンス”だと前向きに捉えていたのだ。
 
「自分のミスから失点をしてしまったから、(PK戦に突入し)『蹴りたい』と思った。ここでチームに貢献しないで、いつするんだというぐらいの気持ちだった。それに、こうした緊張感のあるなかでPKを決められれば、メンタル的にも強くなっていけるはずですから」
 
 こうしたタフな選手こそ、極度の重圧がかかるPKの一番手(阿部がやはり適任か)、または四番目や五番目のキッカーを務めても良かったのかもしれない。あくまでも結果論だが。
 
「もう、こんな試合はしたくない」
 
 そう語ったのは、勝ったFCソウルのチェ・ヨンス監督だった。
 
 相手チームも同じく、天国と地獄を行き来していた。千葉や京都でゴールを量産した元韓国代表ストライカーも、「まさに互角。私たちに少し運があっただけだ」と謙虚に語った。
 
 一方、浦和のペトロヴィッチ監督は、「2度の勝つ機会を逃したのはなぜか。その理由はすぐには探せない」と話し、ショックを隠し切れなかった。
 
 
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