「選手個々で感じるところではあると思いますが、昨シーズンはチームというより個人で勝っていた印象が自分にはあります。今年はチームとしての戦術を重視するようになったので、要求も高くなりました。個のサッカーからチームのサッカーに変わっていく上で、慣れるのに個人差は出ているかと思います。そこにギャップを感じるのは当たり前ですけれど」
福西崇史新監督を迎え、より意図的な、ひとつ上のサッカーを志向した今シーズンの南葛SC。冨岡もそのギャップを感じた一人だが、試合ごとの厳しいレギュラー争いを勝ち抜いてスタメンに名を連ねることも多い。
「自分はFWなので、つなぐ意識を頭に置きつつ結果を要求されていると受け取っています。実際そんなに得点できていないですが、それでも試合に使ってもらえているのは、前線からのハードワークだったり、周りを活かすプレーや高さ、そして戦う気持ちだったりが評価されているのかと。正直、それ以外思いつかないです(笑)」
ヘディングの強さには定評がある。そしてもうひとつ、ウリに気持ちが挙がった。たしかに前線で相手と競る姿勢や時に強引に突破を図る動き、思い切ってヘディングに飛び込む勇気には気持ちの強さが見える。
「自分はテクニックがないので、気持ちを出したり身体を張ったりすることが求められています。そういうタイプの自分からすると、正直もどかしさを感じることもあります。パスをつなぐサッカーを志向するのはもちろんいいのですが、90分の中で1点欲しいという場面では、自分めがけてロングボールを蹴ってもらっていい。それは監督にも臨機応変に使い分けるよう言われているところです。でも、ロングボールが通る確率はもともと高いものではありません。その際、周囲が押し上げていればセカンドボールを拾える可能性も高まり、続けて押し込めますが、今はつなぐサッカーがみんなの頭にあるから押し上げが弱くなり、結果ボールを拾われてしまう。昨シーズンはできていたそのあたりの意思統一が欠けているのは否めません」
チームとして結果が思い通りでない以上、どうしてもネガティブな言葉が並ぶ。だが現状はどうあれ、冨岡は言い切る。
「南葛SCは、間違いなく近い将来Jリーグに入るクラブだと思っています」(文中敬称略)
(第2回に続く/次回は10月2日の掲載になります)
取材・文●伊藤 亮
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