• トップ
  • ニュース一覧
  • 【名勝負の後日談】82W杯、ブラジル最高傑作のチームはなぜ敗れたのか――イタリア側の視点<前編>

【名勝負の後日談】82W杯、ブラジル最高傑作のチームはなぜ敗れたのか――イタリア側の視点<前編>

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年04月21日

司令塔のコンティは勝利への可能性を感じ取っていた「ブラジルの守備の最大の欠点は…」

 そしてわずか1分後に均衡が破れる。右サイドで守備のカバーもしていたコンティがドリブルから左へ振ると、駆け上がるカブリーニがそのままクロスを送る。ロッシは一度マークするルイジーニョに身体を寄せたが、すぐにファーポストへと逃げる。あとは正確なクロスを頭で丁寧に合わせた。

 カウンターの起点となったコンティは、すでに勝利への可能性を感じ取っていた。
「ブラジルの守備の最大の欠点は、目の前に広大なスペースがあっても上がって埋めようとしないことだった。スペースを活かすことにかけて我々アズーリはマエストロ(達人)だ。象徴的だったのが先制点のシーン。カブリーニがクロスを上げる時も、ロッシがファーサイドへ流れた時も、まったくのフリー。ブラジルがスペースを閉じる作業をやっていない証拠だった」

 再びベアルゾット監督の証言である。

「確かに技術面で我々はブラジルに大きく劣っていた。だからそれを補って余りある戦術を採らなければならなかった。一方ブラジルは、イタリアが相手なら簡単にボールが持てるはずだと深過ぎる自信を持っていたに違いない。ブラジルは2次リーグを突破するためではなく、イタリアを完膚なきまでに叩きのめすためにピッチに立った。そのためには、出来るだけ多くの選手を攻撃に割く。それが彼らの哲学なのだ」

 イタリア先制は、世界中のファンを驚かせたに違いない。だがブラジルの失点は珍しいことではなかった。1次リーグでも開幕からソ連戦、スコットランド戦と先制を許しながら、圧倒的な攻撃力で鮮やかに逆転している。まだブラジル側にまったく焦燥はなかった。
(※なおイタリア代表スタッフのインタビューは、現地在住の宮崎隆司氏に託して実現したものです)

文●加部 究(スポーツライター)
【関連記事】
【名勝負の後日談】ドーハの悲劇~最後に蹴らせたのは贖罪なのか…? ラモス瑠偉が感じた疑問
【W杯アジア予選を突破した日】初出場を決めたマレーシアの夜と岡田監督からのお礼の封筒
【W杯アジア予選を突破した日】輪の中心にはカズがいた…ジョホールバルでドーハ組はいかに振る舞ったか?
「彼の姉妹について暴言は言った。けど俺は…」マテラッツィがジダンの“頭突き事件”の舞台裏を告白!
「久保建英とロドリゴが“最後の1枠”を争う」来季マドリーの“EU圏外枠”を巡るバトルをスペイン紙がレポート

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ