ロッシは実感した。「ブラジルのパス回しの遅さが想像以上だった」
7月5日、ともにアルゼンチンを下したブラジルとイタリアは、かつてエスパニョールがホームとして使用し4万4000人収容のサリア・スタジアムで顔を合わせた。同じバルセロナにあるカンプ・ノウは、本来スペインで人気のアルゼンチンが主戦場にする予定だったが、開幕戦でベルギーに敗れたため小さな会場で南米二強が同居してしまったのだった。
アズーリのロッカールームでは、指揮官がこんな言葉で選手を送り出している。
「このブラジルを相手に10回戦えば、おそらく9回は負けるだろう。勝てるとすれば、わずかに1度、だがその1度を、今日の試合にするんだ!」
ただしアズーリを指揮して7年目に入った当時55歳のベテラン監督は、ブラジルという大敵の弱点も探し緻密な戦略を立てていた。
「ブラジルにはブラジル特有の哲学がある。彼らはゴールだけを求めて攻めてくる。たとえ3点のリードを奪っても攻撃を緩めることはない。だからブラジルと攻撃力で渡り合うことなど意味を成さない。イタリアは待つ姿勢を崩さず、90分間に1度や2度訪れるチャンスを掴み取ることが重要なんだ。ブラジルが前がかりに攻め続ければ、戻る体力を失われていく。その時にロッシと(フランチェスコ)グラッツィアーニのスピードについていけるDFはいない」
ベアルゾット監督は、ブラジル戦でも引き続きロッシをスタメンで起用した。ロッシは「まさか」と驚いたが「逆にもう失うものはない、と心に被さっていた蓋が取り払われたような気がした」という。
アズーリのロッカールームでは、指揮官がこんな言葉で選手を送り出している。
「このブラジルを相手に10回戦えば、おそらく9回は負けるだろう。勝てるとすれば、わずかに1度、だがその1度を、今日の試合にするんだ!」
ただしアズーリを指揮して7年目に入った当時55歳のベテラン監督は、ブラジルという大敵の弱点も探し緻密な戦略を立てていた。
「ブラジルにはブラジル特有の哲学がある。彼らはゴールだけを求めて攻めてくる。たとえ3点のリードを奪っても攻撃を緩めることはない。だからブラジルと攻撃力で渡り合うことなど意味を成さない。イタリアは待つ姿勢を崩さず、90分間に1度や2度訪れるチャンスを掴み取ることが重要なんだ。ブラジルが前がかりに攻め続ければ、戻る体力を失われていく。その時にロッシと(フランチェスコ)グラッツィアーニのスピードについていけるDFはいない」
ベアルゾット監督は、ブラジル戦でも引き続きロッシをスタメンで起用した。ロッシは「まさか」と驚いたが「逆にもう失うものはない、と心に被さっていた蓋が取り払われたような気がした」という。
開始3分、そのロッシが決定機を逸した。左からマルコ・タルデリがクロスを送ると、ロッシはゴール前でフリーだった。だがこんな場所でマークがついていない状況など想像もつかなかったので、慌てて左足で反応し、合わせ損なったのだった。ロッシは実感した。
「必ずDFが身体を寄せていると思ってありえないミスをした。ブラジルはもっと強力でうまく守っていると思っていた。それに実際にピッチに立ってみて、ブラジルのパス回しの遅さが想像以上だった。しかもプレスをかけても繋ぐことに固執し横パスも多い。これならきっと同じようなチャンスが巡って来る」