• トップ
  • ニュース一覧
  • 【検証】イタリアはなぜ世界王者から予選敗退まで凋落した? 前編:無策すぎたプレーオフ

【検証】イタリアはなぜ世界王者から予選敗退まで凋落した? 前編:無策すぎたプレーオフ

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年11月16日

ただ空しく試合終了のホイッスルを聞く

第2レグで先発に抜擢され、好プレーを見せたジョルジーニョ。ただ、このレジスタは予選初出場で、これまで使ってこなかった指揮官の無策ぶりが露わに。写真:Alberto LINGRIA

画像を見る

 しかし蓋を開けてみれば、アンカーがデ・ロッシからジョルジーニョ、左インサイドハーフが累積警告で出場停止のヴェッラッティからアレッサンドロ・フロレンツィ、2トップの一角がベロッティからマノーロ・ガッビアディーニへと変わったものの、システムは3-5-2のまま。試合を前にしてスタメンの顔ぶれが見えてきた段階で、マスコミ、そしてサポーターの間には一気に悲観的な空気が広がることになった。
 
 象徴的だったのは、試合開始前の選手紹介で盛り上がったサン・シーロで、最後にヴェントゥーラの名前がアナウンスされた途端、7万人の多くからブーイングの口笛が湧き上がったこと。国を代表するチームの指揮官が国民の信頼を失った状況で、勝たなければ60年ぶりにワールドカップ出場を逃すという決戦に臨むというのは、ありえない事態である。
 
 そして始まった試合は、スウェーデンが最初から引き分け狙いで自陣に引きこもったこともあり、第1レグにも増してイタリアが一方的にボールを支配する展開になった。
 
 アンカーに起用したジョルジーニョが積極的な動きで最終ラインからボールを引き出そうと務めたことで、その呼吸が噛み合い始めた前半半ばからの20分ほどは、そのジョルジーニョを基点とした中盤でのコンビネーションでスウェーデンの守備ブロックを揺さぶり、最終ラインを脅かす場面が何度か生まれた。40分にはそのジョルジーニョからのスルーパスでインモービレが裏に抜け出し、シュートがGKに弾かれるというこの試合最大の決定機も作り出した。
 
 しかしそれも、試合全体からみればごく小さな一部分に過ぎなかった。バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニという最終ラインは、ミスして奪われれば被カウンターに繋がる可能性がある中央のゾーンへのパスよりも、より安全なサイドへの展開を選ぶマインドが強く、ジョルジーニョやフロレンツィがマークを外してパスコースを作り出しても、そこに通そうというチャレンジを避ける傾向から逃れられない。
 
 後半に入ると、早くゴール前にボールを運びたいという焦りも加わって、中央からのコンビネーションで揺さぶりをかける試みはほとんど見られなくなり、結局サイドからクロスを入れてははね返されるという埒の明かない展開に終始することになった。試合が終わってみれば、放り込んだクロスの数は第1レグを大きく上回る51本。しかしそこからは一度たりとも決定機を作り出すことができなかった。
 
 ヴェントゥーラは最後の30分、エル・シャーラウィ、ベロッティ、フェデリコ・ベルナルデスキという攻撃的なプレーヤーを投入したが、戦況を読んだ上で状況を打開するための戦術的な解決策として選手交代をしたわけではなく、単に変わらぬ戦術的な枠組みの中で駒だけを入れ替えてみたに過ぎない。終了間際には絶望的な総攻撃で一方的に押し込んだものの、偶然以外に頼るものは何もなく、ただ空しく試合終了のホイッスルを聞く以外にはなかった。
 
【関連記事】
【検証】イタリアはなぜ世界王者から予選敗退まで凋落した? 後編:連盟と育成の機能不全
アンチェロッティがイタリア代表監督就任に前向き? あのレジェンドも入閣か?
アメリカが予選敗退国を集めた“裏W杯”開催を計画! その壮大な構想の内容は…
W杯抽選会のポットが確定! 日本にとって最高&最悪のシナリオは?
W杯32か国の「ユニホーム・サプライヤー」まとめ! 最多契約のブランドは?

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ