司令塔タイプと「8年サイクル」。遠藤の後釜となるのは――。

シンガポール戦でも圧倒的な存在感を放っていた本田。今後も軸となる彼を右サイドに固定するのか、それとも中央に置くのか。その起用法に指揮官の哲学も色濃く反映されそうだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
個人的にシンガポール戦を見て改めて感じたのは、宇佐美貴史や武藤嘉紀など近年はアタッカータイプの選手の台頭は継続的に見られるが、かつて日本の代名詞とも言えた中盤の司令塔タイプの人材が、枯渇し始めているということだ。
少し強引な見方ではあるが、近年の日本代表の中盤で一時代を築く選手のサイクルは、「8年前後」だと考えている。五輪代表からA代表の主力へ――という流れが日本で根強いことも関係しているのだろうが、Jリーグ発足以降、日本代表の中盤で長くシンボル的存在となったのは、97~06年=中田英寿、02~10年=中村俊輔、06~14年=遠藤保仁、10年~=本田圭佑といったところだろう。
シンガポール戦で再認識させられたのが、06年に発足したオシム体制以降の日本代表のサッカーは、遠藤とともにあったということ。確かな技術と独特なリズムでパスを散らす姿は、間違いなく近年のチームの心臓部と言えた。
35歳となった彼の後釜として、背番号まで譲り受けているのが柴崎岳だが、彼がワールドカップ予選で継続的に攻撃のタクトを振るうのか、それとも別の人材を据えて中盤を再構築するのかは、今後のひとつの焦点となる。
またアタッカー陣で言えば、シンガポール戦でハリルホジッチ監督は先発した宇佐美を78分まで引っ張った一方、香川真司を61分に早々と交代させている。これは2列目における序列の変化を意味するのだろうか。そして変わらずに絶対的な存在感を放つ本田を、右サイドに置き続けるのが最適なのかも含めて、再考の余地はある。
現チームのシンボルである本田は、年齢を考えても32歳で迎える18年ロシア大会を十分に目指すことができる。柴崎との相性も良さそうな彼を中央に置くか、一列下げてプレーメーカー的に使うのも面白そうだが、果たして――。
ハリルホジッチ監督によるチーム作りは、ここから本格化するだろう。そして、その手腕が問われるのも、国内組で臨む8月の東アジアカップからとなる。刺激に満ちた変革に期待したい。
取材・文:谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)
少し強引な見方ではあるが、近年の日本代表の中盤で一時代を築く選手のサイクルは、「8年前後」だと考えている。五輪代表からA代表の主力へ――という流れが日本で根強いことも関係しているのだろうが、Jリーグ発足以降、日本代表の中盤で長くシンボル的存在となったのは、97~06年=中田英寿、02~10年=中村俊輔、06~14年=遠藤保仁、10年~=本田圭佑といったところだろう。
シンガポール戦で再認識させられたのが、06年に発足したオシム体制以降の日本代表のサッカーは、遠藤とともにあったということ。確かな技術と独特なリズムでパスを散らす姿は、間違いなく近年のチームの心臓部と言えた。
35歳となった彼の後釜として、背番号まで譲り受けているのが柴崎岳だが、彼がワールドカップ予選で継続的に攻撃のタクトを振るうのか、それとも別の人材を据えて中盤を再構築するのかは、今後のひとつの焦点となる。
またアタッカー陣で言えば、シンガポール戦でハリルホジッチ監督は先発した宇佐美を78分まで引っ張った一方、香川真司を61分に早々と交代させている。これは2列目における序列の変化を意味するのだろうか。そして変わらずに絶対的な存在感を放つ本田を、右サイドに置き続けるのが最適なのかも含めて、再考の余地はある。
現チームのシンボルである本田は、年齢を考えても32歳で迎える18年ロシア大会を十分に目指すことができる。柴崎との相性も良さそうな彼を中央に置くか、一列下げてプレーメーカー的に使うのも面白そうだが、果たして――。
ハリルホジッチ監督によるチーム作りは、ここから本格化するだろう。そして、その手腕が問われるのも、国内組で臨む8月の東アジアカップからとなる。刺激に満ちた変革に期待したい。
取材・文:谷沢直也(サッカーダイジェスト編集長)