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【THIS IS MY CLUB】「野人」から「何でも屋」に――。鳥取・岡野雅行GMが語る“ガイナーレイズム”「レオナルドの言葉に涙が…」

カテゴリ:Jリーグ

江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月24日

「鳥取に来た頃は公園のトイレで着替えて…」

現役時代は爆発的なスピードを武器にFWとして活躍。「野人」の愛称で親しまれた。(C)SOCCER DIGEST

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――超人気クラブの浦和レッズでプレーされていたので、ギャップも大きかったのでは?

「浦和以外でもいろいろな経験をしましたからね。ヴィッセル神戸では、当時はまだ胸スポンサーもない時代で、選手が営業に行ってました。その後、香港でもプレーして。レッズのクラブハウスは、食堂もあって、ジャグジーがあって、ビリヤードもできてもうすごいわけですよ。香港に行ったらなんにもない(笑)。雨が降ったら、すぐ練習が中止になるし。でも、楽しかったですよ、学生時代に戻った感じで。僕は高校時代、まずサッカー部を作るところから始まって、その環境からプロになったんです。普通はありえないじゃないですか。だから、ガイナーレに来た時も、環境とかは気にならなかったですね」

――当時はまだJリーグに加入する前でした。

「まだJFLで、アマチュアだったので、練習する場所も毎日違うんですよ。芝生じゃないし、1時間以上かけて普通の公園に行ってやったり。着替えるところもないので、公衆トイレに荷物を置いて。冬はすごく寒くて、雪や雨も降るし大変でした。泥だらけになっても、シャワーはないので、公園の水道で水をビューって出して、みんなでうわーって言いながら浴びて、車の暖房をガンガンにして、そこからまた、時間をかけて鳥取市に帰って、温泉に飛び込むんです。鳥取はけっこう温泉が多いんですよ。

 そんな経験が僕には貴重でしたし、そこからJ2に上がりましたからね。だから、環境のせいにしたくないんですよ。環境が悪いから勝てないんじゃないか、という人もいますが、環境が良くても勝てないチームもたくさんありますよね。お金をかけたって勝てないチームは勝てないし、環境じゃなくて自分たち次第だと思うんですよ。ビッグクラブだろうが小さいクラブだろうが、大事なのは規模ではなく、何を誇りにやるのかなんです。だから、不利な環境でも、アイデアを出し合ってどうやって盛り上げていくかにやりがいを持っています」
 
――加入当初からここまでのクラブの成長をどう感じていますか?

「クラブの成長というか、僕がGMになった時、右も左も分からないときに、選手目線でまず思ったのが、元気がないなと。勝負の世界なんで、勝ち負けに左右されるじゃないですか。勝てば称賛されるけど、負けたらボロカスに言われる。もちろんプロなのでそれが当たり前なんですけど、スポーツクラブというのは明るくないだめだと思うんですよ。例えば、クラブハウスにグッズを買いに来たファンの方に、前日に負けていたとしても、明るく挨拶する、そんなクラブにしたかった。そこで沈んでいるようなチームを、誰が応援するんだよ、と。スポーツなんて結果が出ないことのほうが多いし、批判されることのほうが多い。でも、たまに喜びがあるから頑張れるんです。僕は難しい事は分からないので、メンタルの部分だけは、ずっと言ってきましたね」

――それこそ、レッズ時代は厳しい批判を浴びたことも少なくなかったのでは?

「いまはSNSとかで不満を発散できるかもしれないですが、当時は普及してなかったんで、行動に出るわけですよ。バスを囲まれたり、卵を投げられたり、唾をひっかけられたり。家のガラスを割られたことも2回ありました。ただ、試合に負けて、社長が出て行ってブーイングされてるのを見るのは、すごく嫌だった。選手に給料を払ってくれている方じゃないですか。プレーしているのは選手だし、負けたらクラブみんなの責任なんです。クラブというのはみんなで作っていくべきで、例えばフロントと現場がバラバラじゃ絶対に上手くいかない。

 レッズが優勝した時は、現場とフロントが一致団結していた。みんなが同じ方向に向かっていたんです。ファン・サポーター、スポンサーの方もみんなが目指してるのは優勝だった。バルセロアやレアル・マドリーを倒すクラブになろうと。バカげてると思われようが、何を言われようが、みんながひとつになれば勝てるんです」
 
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