「そのクラブの社長とは以前からの知り合いで練習に参加などさせてもらって、熱心に誘ってもらっているうちに気持ちが入ってきまして。クラブの思いや選手たちと接しているうちに共通する価値観も感じるようになって、できるなら力になりたい、と思うようになりました」
プレーヤーとしてだけではなく、指導者として経営者として、さらにはサッカーを広める伝道者としても何か力になりたい。それを優先的に考えた時、成長途上のクラブに身を置くことは適切な選択と言える。
「南葛SCに来たのも同じ理由です。岩本義弘GMという、以前より親交のあった方から熱心に誘っていただいたというのもあります。さらに『キャプテン翼』は僕の原点ですから。子どもの頃は夕方にアニメを観て、終わったらサッカーがしたくなったみんなが近所の空き地に集まってきて…。単行本は37巻まで、今も実家にあります。10回や20回じゃきかないくらいずっと読んでいました。当時は日向とかシュナイダーとかのシュートを真似してましたね。松山くんのイーグルショットも真似しましたけど、低い弾道にしたいのにボテボテのゴロになっちゃって(笑)。あ、僕、今はDFですけど小学5年の時から高校2年まではFWだったので。そんな僕の原点のマンガを描いた高橋陽一先生のクラブでもなにか力になりたい、と思ったから来ました。これも僕にとってはひとつの恩返しなんです」
プレーに限らず、サッカーに関してできる範囲のあらゆる対象で向上心を持ち、これまで培った経験と知見をあらゆる形で還元したい。それが柴村直弥の価値観。だからこそ今、南葛SCにいて、選手兼コーチをしているのだ。
(第2回に続く/次回の掲載は8月29日の予定です)
取材・文●伊藤亮
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