「もう優勝はないわけだし、逆にもっと(自分へのパスを)意識しろと思った」(大久保)
CS出場の可能性がすでになく、天皇杯も4回戦で敗退していた川崎にとって、このゲームは「勝利」と「大久保のゴール」が焦点だった。
周りが大久保にボールを集めようとするのは自然の流れで、後半のチャンスにパスを選択した中村は「打とうかなと思ったけど、嘉人が手を挙げたから……そりゃ出すだろ(笑)。やっぱり点を取ってほしいもの」と笑った。
もっとも、仙台が警戒網を敷いた影響もあり、実際にボールが渡った回数は普段より少なかったという。大久保も「もっとボールが来る時は来る」と違いを口にすると、その後にゴールハンターらしい貪欲さを覗かせた。
「前半なんて、ほとんどシュートを打てなかった。もう優勝はないわけだし、逆にもっと(自分へのパスを)意識しろと思いました」と冗談交じりに語る。
同節に広島の佐藤寿人が1ゴールを決めて、J1通算得点記録で中山雅史の持つ「157」に並んだ。大久保は現在156得点と一足先に行かれる形となったが、「先に行こうが後に行こうが別にどっちでもいいし、ふたりで記録を伸ばせるのはいい。誰が先に行こうが、その人を目標にするだけ。先に行かれてもなんとも思わない」と意に介さない。
しかし、話が台頭する若手に向けられると、「まだまだ身体が動くのを見せつけたい」と自信を覗かせる。「ベテランと言われながらも、あそこまでやれるんだと思われたいし、同じ年代の人たちのためにも、まだまだ負けないというのを見せたい」と語気を強めた。

この日のゴールで「YOSHI METER」は「156」に更新。広島の佐藤が一足早く中山雅史の「157」に並んだが、「誰が先に行こうが、その人を目標にするだけ」(大久保)。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)