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フロンターレの試行錯誤をシェアできれば……ドーハの悲劇で目覚めた高校生が本気でW杯制覇を目指している話

カテゴリ:Jリーグ

手嶋真彦

2022年02月17日

型の整理という新たな目標に向かって

井川宜之。愛知県出身、明治大学経営学部卒業後、(株)川崎フロンターレに入社。現在は事業本部シニアマネージャーを務める。

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 井川にはどうしても会いたい人がいる。マーケティングの力を駆使して、集客が低迷していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の業績を急上昇させた森岡毅だ。USJを離れて独立起業してからも、分野の異なる事業でマーケターとしての辣腕をふるうこの希代の戦略家に、井川は「確率思考の戦略論」などの指南書を介して私淑してきた。

 井川の焦りは日増しに大きくなっていく。日本の英知を一刻も早く結集しなければ、ワールドカップで最後まで勝ち進むのは難しいのではないか……。

「森岡さんだったらなって、よく思います。俺自身が森岡毅だったらなって」 

 Jクラブ全体が良くなることに意味がある。だから井川はこう考える。

「サッカークラブの商品を買ってもらいやすくなる、事業の“型”のようなものが、もしかしたらあるのかもしれません」 

 あらゆるクラブが応用できる型を、底辺から這い上がってきたフロンターレだからこそ整理できるのではないか。売上を作るセールスに長年携わり、森岡のおかげでマーケティングの威力を再認識できた井川は、型の整理という新たな目標に向かってすでに動き出している。

 付け加えるとワールドカップ優勝も目標であって、目的ではない。自分の趣味嗜好を押しつけるつもりは一切ないと断りながら、井川は想像する。サッカーが圧倒的な人気スポーツになっていたほうが、楽しいだろう。楽しい国、楽しい社会が目的で、サッカーはそのための手段なのだ。

「最近すごく思うんです。サポーターたち、めっちゃ楽しそうにしているなって。フロンターレのサポーターだけじゃないですよ。愛するクラブがあるって、とっても幸せなことだよなあって。生きていく、未来への希望だなあって」
 
 取材中、井川は不安げな表情で何度も確かめてきた。「本当にこんな話で、ちゃんとお役に立てますか?」。実直をそれこそ絵に描いたような人が、物怖じせず、まっしぐらに突き進む。 

「やっぱり俺はサッカーだって、改めて思ったり」
「自分はサッカーじゃないと人生は懸けられない。そう思わされたり」
「日本のサッカーには、なんか自分の命を懸けちゃっていますので」 

 なんで井川君が? 

 高校3年生だったあの日も、今も理由はよく分からない。けれども――。 

「僕はサッカーなんですよ。他のスポーツじゃ、たぶんダメなんです」
(文中敬称略)

取材・文●手嶋真彦(フリーライター)

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