劇的にチームが変化したヴェンゲルの言葉とは?
――攻撃面ではどのような指示を受けていた?
「攻撃に関しては、かなりヴェンゲルも苦労しているようでした。守備に比べると、指示が比較的曖昧というか、ボール持った時にどうしろと決めてしまうと、チームや個人のクリエイティビティを削いでしまうという考えで、そこに関してはフリーマインドでやってくれとよく言っていたんです。普通に考えたら当たり前の事なんですけど、僕らも負け続けていたので、どうしたらいいか、ある程度の指針がほしかったんですよね。日本人ってそういう部分があるじゃないですか。
ヴェンゲルにとっては、その指針自体が必要ないものという認識だったと思うんです。ヨーロッパでは、逆にフリーマインドでやり過ぎるから制限する感覚ですよね。彼がよく『リスペクト・ザ・ゲーム』という話をしていたんですよ。『試合でその瞬間に自分がやりたい事をやるのではなくて、その瞬間に望まれている事を表現しろ』みたいな。その時は、全然意味がわからなくて。リスペクトだから謙虚な気持ちで試合に臨むというニュアンスぐらいにしか捉えていなかったんです。
後にアーセナルに行った時に、改めてヴェンゲルと話して、ようやく意味を理解しました。要は『自分がやりたい事じゃなくて、客観的に見て、例えばスタジアムの観客があそこに出してほしいと思った時に、そこに出せる選手であれ』というような意味で、ゲームの原則を理解した上で、客観性を持ってプレーしろ、ということが言いたかったんです。ただ、当時の僕たちにはうまく伝わっていなかった」
「攻撃に関しては、かなりヴェンゲルも苦労しているようでした。守備に比べると、指示が比較的曖昧というか、ボール持った時にどうしろと決めてしまうと、チームや個人のクリエイティビティを削いでしまうという考えで、そこに関してはフリーマインドでやってくれとよく言っていたんです。普通に考えたら当たり前の事なんですけど、僕らも負け続けていたので、どうしたらいいか、ある程度の指針がほしかったんですよね。日本人ってそういう部分があるじゃないですか。
ヴェンゲルにとっては、その指針自体が必要ないものという認識だったと思うんです。ヨーロッパでは、逆にフリーマインドでやり過ぎるから制限する感覚ですよね。彼がよく『リスペクト・ザ・ゲーム』という話をしていたんですよ。『試合でその瞬間に自分がやりたい事をやるのではなくて、その瞬間に望まれている事を表現しろ』みたいな。その時は、全然意味がわからなくて。リスペクトだから謙虚な気持ちで試合に臨むというニュアンスぐらいにしか捉えていなかったんです。
後にアーセナルに行った時に、改めてヴェンゲルと話して、ようやく意味を理解しました。要は『自分がやりたい事じゃなくて、客観的に見て、例えばスタジアムの観客があそこに出してほしいと思った時に、そこに出せる選手であれ』というような意味で、ゲームの原則を理解した上で、客観性を持ってプレーしろ、ということが言いたかったんです。ただ、当時の僕たちにはうまく伝わっていなかった」
――それが、どのように噛み合っていったんですか?
「伊藤さんと浅野さんがどういう風に攻撃したらいいんだろうと、話をしに行ったんです。ヴェンゲルの中でも、もうある程度の指針というか攻撃の基本原則を示したほうが良いと思いはじめていたんでしょうね。これがヴェンゲルの言葉で僕が一番好きな言葉なんですけど、『パスは未来に出せ』と言ったんですよ。その後に「決して現在でも過去でもなく」という言葉が続くんですけど。現在というのは横パスで、過去はバックパス。未来は前にパスを出すってことなんです。よくそういう表現をする人で。
彼はフランス人ですが、通訳が英語だったから英語で話していたんですが、その言葉を聞いた瞬間に言葉をすごく腑に落ちた。すごく大きい言葉でしたね。そこから、みんながパスを前に出すようになって劇的にチームが変化したんですよ。究極を言えば、インターセプトしたボールがスルーパス、ラストパスみたいな、ボールを奪うのとシュートが一緒になるみたいなイメージですよね。その後も、ヴェンゲルと細かな点を直接話しました。僕はボランチをやっていたので、ボールを奪った瞬間に自分のファーストタッチがそのままストイコビッチに入るボールだったらそれが最高だと言われましたね」
「伊藤さんと浅野さんがどういう風に攻撃したらいいんだろうと、話をしに行ったんです。ヴェンゲルの中でも、もうある程度の指針というか攻撃の基本原則を示したほうが良いと思いはじめていたんでしょうね。これがヴェンゲルの言葉で僕が一番好きな言葉なんですけど、『パスは未来に出せ』と言ったんですよ。その後に「決して現在でも過去でもなく」という言葉が続くんですけど。現在というのは横パスで、過去はバックパス。未来は前にパスを出すってことなんです。よくそういう表現をする人で。
彼はフランス人ですが、通訳が英語だったから英語で話していたんですが、その言葉を聞いた瞬間に言葉をすごく腑に落ちた。すごく大きい言葉でしたね。そこから、みんながパスを前に出すようになって劇的にチームが変化したんですよ。究極を言えば、インターセプトしたボールがスルーパス、ラストパスみたいな、ボールを奪うのとシュートが一緒になるみたいなイメージですよね。その後も、ヴェンゲルと細かな点を直接話しました。僕はボランチをやっていたので、ボールを奪った瞬間に自分のファーストタッチがそのままストイコビッチに入るボールだったらそれが最高だと言われましたね」