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「ひとつの言葉が劇的にチームを変えた」愛弟子・中西哲生氏が明かす名将ヴェンゲルの“グランパス改革”/前編

カテゴリ:Jリーグ

江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

2020年06月13日

「フランス合宿の初日にジョージ・ウェアが来て…」

当時の名古屋の攻撃を牽引したのがピクシーことストイコビッチだ。(C) Getty Images

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――劇的に良くなったキッカケは?

「(第1ステージの中断期間中の)6月にフランスに合宿に行ったのが大きかったですね。初日にいきなり(ヴェンゲルのモナコ時代の教え子だった)ジョージ・ウェアが来て、一緒に昼食を食べて。95年だから、ちょうどバロンドールを獲った年ですね(その年の夏にパリ・サンジェルマンからミランに移籍)。もうキレキレの時ですよ。ヴェンゲルから一言喋れと言われて、ウェアが『ヴェンゲルは父親みたいな存在だ。この人の言う事を聞いてれば大丈夫だ』と言われて、『すげぇ人なんだ』みたいな。当時は日本にいたら、わからないじゃないですか。いまみたいにインターネットが普及していたわけじゃないし、その頃の海外サッカーの情報は『サッカーダイジェスト』や『サッカーマガジン』から仕入れるしかなかったので。

 チーム全員でパリ・サンジェルマンの試合を観戦しにパルク・デ・プランスに行った時も、ヴェンゲルやピクシー(ストイコビッチ)、(フランク・)デュリックス、(ジェラール・)パシは、みんな顔パスなわけですよ。パリのサポーターも、『ヴェンゲルだ!』『ストイコビッチだ!』『デュリックスだ!』と大騒ぎで、度肝を抜かれたというか、やはりすごい人たちなんだな、と。改めて、この人たちついて行けば大丈夫なんだと、実感しましたね」

――まだ結果は出ていませんでしたが、確信が持てたわけですね。

「そのヴェルサイユ合宿は環境も良くて、練習内容も充実していた。戦術的な確認やフィジカル的な追い込みも良い形でできて、チームが成長できた。それで、中断明けから結果も徐々に伴ってきて、結果を出せるチームになった。その後、第1ステージでは(10試合で)1回しか負けていなかったんじゃないかな」
 
――戦術的にはどういうスタイルだった?

「まず守備については、すごくオーガナイズされていた。マンツーマンとゾーンの併用なんですが、優先順位が何なのかをちゃんと示してくれていた。マンツーマンだったらもちろん自分のマークに付いてる相手が最優先なんですが、ゾーンだったらボールの位置、味方の位置だったりするので、味方との距離感やボールの位置によって、どうポジショニングをとるかを、わかりやすく論理的に説明してくれていた。

 なので、守備の部分に関しては構築が早くて、フランス合宿の前から納得した状態でやれていた。ただ、いかんせん結果が出てなかった。時間帯によって漏れがあったり、ゾーンの時の意識の個人差があったりして、選手間に溝ができてしまってそこを突かれるという事があった。合宿でそのあたりが、修正できたと思います」
 
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