27年前の5月16日、Jリーグ初のハットトリックはこうして生まれた【名勝負の後日談】

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年05月16日

ジーコは不思議そうに答えた。「怒る?オレはおまえを怒ったことなど一度もないぞ」

名古屋戦ではアルシンド(中央)の2ゴールも加わり、5対0の大勝を収めた鹿島。写真:サッカーダイジェスト

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 結局開幕戦で弾みをつけた鹿島は、ファーストステージで優勝を果たし、ここからJ随一の名門クラブへの道を邁進していく。鈴木圀弘は一度ジーコに訴えたことがある。

「もう辞めます。こんなに毎日怒られるのは、もう耐えられない」

 するとジーコは不思議そうに答えた。
「怒る?オレはおまえを怒ったことなど一度もないぞ」

 そう言われて観察してみると、ジーコは自分の子どもたちやブラジル人スタッフなど、誰に対しても同じ態度で接していた。いつも怒っているように見えたのは、それだけ魂を込めて取り組んでいる証だった。

「それに怒っても一生懸命やっている人間には必ずフォローを入れる。そこに人間味を感じる。だから愛されるんです」(鈴木満)

 逆にリネカーは、2年間でわずか4ゴールに終わり寂しく名古屋を退団した。キリンカップでトッテナム・ホットスパーの一員として来日した際にも、日本代表に0-4の完敗。残念ながら日本との相性は良くなかった。

 名古屋でファンが心から誇れるチームが生まれるのは、アーセン・ヴェンゲルがピクシーの再生に成功する2年後のことになる。

文●加部 究(スポーツライター)

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