短期集中連載『名勝負の後日談』vol.7 Jリーグ開幕戦・鹿島vs名古屋|序盤の判定次第ではコントラストが入れ替わる可能性もあった?
歴史に残る名勝負、名シーンには興味深い後日談がある。舞台裏を知る関係者たちが明かしたあの日のエピソード、その後の顛末に迫る。今回はJリーグ元年となった1993年の開幕戦、鹿島アントラーズのジーコが達成したリーグ初のハットトリックとそこへ至るストーリーを紐解く(文:加部 究/スポーツライター)
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1993年5月16日、鹿島スタジアムのピッチ上で柔らかい笑みを湛えて握手をかわすふたりのスーパースターの明暗は、まだ誰にも見えていなかった。もちろんこの小さな街で誕生した鹿島アントラーズが、29冠(※リーグ、リーグカップ、天皇杯、ACLで20冠ともカウント)を積み上げJリーグ史で独走する未来など想像も出来ていない。
鹿島vs名古屋は、そのまま「白いペレ」の異名を取るジーコと、7年前のワールドカップ得点王ガリー・リネカーの対決としてクローズアップされていた。
もしかすると試合序盤の判定次第では、両雄のコントラストが入れ替わる可能性もあったのかもしれない。記念すべきプロ開幕戦で最初にビッグチャンスを掴んだのは、アウェーの名古屋だった。右から江川重光のクロスを中央で沢入重雄がダイレクトで落とすと、ガリー・リネカーがマークする奥野僚右とすれ違うように飛び出す。この時、鹿島側ではサイドバックの賀谷英司が最後尾に残っていた。リネカーは角度のない位置から逆サイドのネットへと叩き込む。鹿島ゴールを守る古川昌明も「やられた」と思った。
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1993年5月16日、鹿島スタジアムのピッチ上で柔らかい笑みを湛えて握手をかわすふたりのスーパースターの明暗は、まだ誰にも見えていなかった。もちろんこの小さな街で誕生した鹿島アントラーズが、29冠(※リーグ、リーグカップ、天皇杯、ACLで20冠ともカウント)を積み上げJリーグ史で独走する未来など想像も出来ていない。
鹿島vs名古屋は、そのまま「白いペレ」の異名を取るジーコと、7年前のワールドカップ得点王ガリー・リネカーの対決としてクローズアップされていた。
もしかすると試合序盤の判定次第では、両雄のコントラストが入れ替わる可能性もあったのかもしれない。記念すべきプロ開幕戦で最初にビッグチャンスを掴んだのは、アウェーの名古屋だった。右から江川重光のクロスを中央で沢入重雄がダイレクトで落とすと、ガリー・リネカーがマークする奥野僚右とすれ違うように飛び出す。この時、鹿島側ではサイドバックの賀谷英司が最後尾に残っていた。リネカーは角度のない位置から逆サイドのネットへと叩き込む。鹿島ゴールを守る古川昌明も「やられた」と思った。
ラインを見極め、絶妙のタイミングで抜け出すリネカーの真骨頂だった。だが副審は旗を上げ、オフサイドの判定を下した。おそらくVARが採用された今なら覆っていた判定だったはずだ。
その後の展開は、まさに両チームを天国と地獄へと選別していく。ジーコは自らの縦パスで混乱を誘うと、こぼれ球に反応し中央から豪快に蹴り込み先制。続いて石井正忠が左サイドを単独で強引に切り裂きFKを獲得すると、ジーコが鮮やかなカーブをかけて内側のポストを叩きゴールネットを揺する。鹿島が2点をリードして前半を終えた。
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