• トップ
  • ニュース一覧
  • オシムのビジョン、ギドの本音…名役者が共演した90年W杯、西独vsユーゴの真相【名勝負の後日談】

オシムのビジョン、ギドの本音…名役者が共演した90年W杯、西独vsユーゴの真相【名勝負の後日談】

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年05月11日

ユーゴスラビア戦の快勝で西独メディアの論調も急転

決勝ではマラドーナのマークについたブッフバルト。西独の3回目の優勝に貢献した。(C) Getty Images

画像を見る

 会心のスタートを切り、フランツ・ベッケンバウアー監督も自信のコメントを残している。
「我々のチームは素晴らしい時期に入ろうとしている。今日の出来には非常に満足している。西ドイツは優勝候補のひとつ。出来れば、このままミラノに居座って戦いたい」

 指揮官の希望通り、西ドイツは準々決勝まで5試合をミラノで戦い頂点に上り詰めた。ミラノはマテウス、ブレーメ、クリンスマンが所属するインテルのホームタウンだった。

 自国メディアの論調も急転した。
「西ドイツ代表はすべてがスムーズに流れ、批判の余地はない」(Welt紙)
「もはや危険な相手はブラジルだけ」(Bild紙)

 後にベッケンバウアーは「90年大会の決勝は、戦う前から勝つことが分かっていた」と語っている。相手は2大会連続してアルゼンチン。だがこの大会では、ぎりぎりの守備からディエゴ・マラドーナに託すばかりで、その代償として決勝戦では主力3人を出場停止で欠いていた。

 一方でブッフバルトも十分な勝算を描いていた。
「前年のUEFAカップ決勝でナポリと対戦し、もうマラドーナに往年の力がなくなっていると感じた。冷静に両国の選手個々の力を比較しても、マラドーナを除けば西ドイツの方が勝っていたし、マラドーナさえ抑えれば勝てると思った」

 だがオシムが指揮するユーゴスラビアも見事に立ち直り、2戦目からは3連勝。最後は準々決勝でアルゼンチンと対戦し、前半で退場者を出しながらスコアレスのPK戦まで追い込んだ。

「グループリーグは勝ち進めばいい。もしノックアウト方式だったら、最初から別のメンバーで戦ったよ」(オシム)

 明暗を分けた注目の一戦だったが、どちらも大きな賞賛とともに帰国することになった。サビチェビッチが大黒柱としてミランに欧州制覇に導くのは、それから4年後、若過ぎてメンバーから漏れたミヤトビッチがレアル・マドリーにUEFAチャンピオンズリーグをもたらすのは8年後のことだった。(文中敬称略)

文●加部 究(スポーツライター)
【関連記事】
「サッカーが嫌いに…」「物凄く辛かった」7か月で終焉したファルカンJAPANの真相【名勝負の後日談】
【名勝負の後日談】ヴェルディの天敵となった“堅守”マリノス。82セレソンの異分子がもたらした“1-0”の美学
【日本代表 隠れ名勝負】“ゾーンプレス”がハマった加茂ジャパンの歴史的快勝劇!欧州勢を相手に躍動したのは…
【名勝負の後日談】「ジーコの技は誰にも止められない」82W杯、ブラジル最高傑作のチームはなぜ敗れたのか?<後編>
【名勝負の後日談】ドーハの悲劇~最後に蹴らせたのは贖罪なのか…? ラモス瑠偉が感じた疑問

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ