ユーゴスラビア戦の快勝で西独メディアの論調も急転
会心のスタートを切り、フランツ・ベッケンバウアー監督も自信のコメントを残している。
「我々のチームは素晴らしい時期に入ろうとしている。今日の出来には非常に満足している。西ドイツは優勝候補のひとつ。出来れば、このままミラノに居座って戦いたい」
指揮官の希望通り、西ドイツは準々決勝まで5試合をミラノで戦い頂点に上り詰めた。ミラノはマテウス、ブレーメ、クリンスマンが所属するインテルのホームタウンだった。
自国メディアの論調も急転した。
「西ドイツ代表はすべてがスムーズに流れ、批判の余地はない」(Welt紙)
「もはや危険な相手はブラジルだけ」(Bild紙)
後にベッケンバウアーは「90年大会の決勝は、戦う前から勝つことが分かっていた」と語っている。相手は2大会連続してアルゼンチン。だがこの大会では、ぎりぎりの守備からディエゴ・マラドーナに託すばかりで、その代償として決勝戦では主力3人を出場停止で欠いていた。
一方でブッフバルトも十分な勝算を描いていた。
「前年のUEFAカップ決勝でナポリと対戦し、もうマラドーナに往年の力がなくなっていると感じた。冷静に両国の選手個々の力を比較しても、マラドーナを除けば西ドイツの方が勝っていたし、マラドーナさえ抑えれば勝てると思った」
だがオシムが指揮するユーゴスラビアも見事に立ち直り、2戦目からは3連勝。最後は準々決勝でアルゼンチンと対戦し、前半で退場者を出しながらスコアレスのPK戦まで追い込んだ。
「我々のチームは素晴らしい時期に入ろうとしている。今日の出来には非常に満足している。西ドイツは優勝候補のひとつ。出来れば、このままミラノに居座って戦いたい」
指揮官の希望通り、西ドイツは準々決勝まで5試合をミラノで戦い頂点に上り詰めた。ミラノはマテウス、ブレーメ、クリンスマンが所属するインテルのホームタウンだった。
自国メディアの論調も急転した。
「西ドイツ代表はすべてがスムーズに流れ、批判の余地はない」(Welt紙)
「もはや危険な相手はブラジルだけ」(Bild紙)
後にベッケンバウアーは「90年大会の決勝は、戦う前から勝つことが分かっていた」と語っている。相手は2大会連続してアルゼンチン。だがこの大会では、ぎりぎりの守備からディエゴ・マラドーナに託すばかりで、その代償として決勝戦では主力3人を出場停止で欠いていた。
一方でブッフバルトも十分な勝算を描いていた。
「前年のUEFAカップ決勝でナポリと対戦し、もうマラドーナに往年の力がなくなっていると感じた。冷静に両国の選手個々の力を比較しても、マラドーナを除けば西ドイツの方が勝っていたし、マラドーナさえ抑えれば勝てると思った」
だがオシムが指揮するユーゴスラビアも見事に立ち直り、2戦目からは3連勝。最後は準々決勝でアルゼンチンと対戦し、前半で退場者を出しながらスコアレスのPK戦まで追い込んだ。
「グループリーグは勝ち進めばいい。もしノックアウト方式だったら、最初から別のメンバーで戦ったよ」(オシム)
明暗を分けた注目の一戦だったが、どちらも大きな賞賛とともに帰国することになった。サビチェビッチが大黒柱としてミランに欧州制覇に導くのは、それから4年後、若過ぎてメンバーから漏れたミヤトビッチがレアル・マドリーにUEFAチャンピオンズリーグをもたらすのは8年後のことだった。(文中敬称略)
文●加部 究(スポーツライター)