オシムが「分かっていた」という結果をそのまま受け入れるつもりがなかったのは明白だ
均衡が破れたのは28分、西ドイツはセンターバックのトマス・ベルトルトが右サイドに展開し、シュテファン・ロイターがダイレクトで中へ繋ぐと、バイタルエリアでゴールを背にしたローター・マテウスが反転。左足でゴールネットを揺する。
さらに40分、左サイドでフリーのアンドレアス・ブレーメがフリーで速いクロスを送り、気鋭の俊足FWユルゲン・クリンスマンがダイビングヘッドで叩き込んだ。
綺麗なプレーが得意な選手たちで構成されたユーゴスラビアは、オシムの表現を借りれば「水を運ぶ選手」が欠けていた。ただしオシムが「分かっていた」という結果を、そのまま受け入れるつもりがなかったのは明白だった。
ユーゴスラビアは、後半に入ると右サイドからピクシーの仕掛けが冴えるようになり、54分、自ら獲得したFKをボダル・ヨジッチの頭に合わせて1点を返す。
するとオシムは即座に動いた。その1分後には、天才肌の象徴とも言えるデヤン・サビチェビッチとサフェト・スシッチを下げている。当時1試合の交代枠は2名しかなかった。
「テクニックがあっても走れない。そんなタイプばかりではなく、走る部分をカバーする選手も必要だということを示したんだ」(オシム)
さらに40分、左サイドでフリーのアンドレアス・ブレーメがフリーで速いクロスを送り、気鋭の俊足FWユルゲン・クリンスマンがダイビングヘッドで叩き込んだ。
綺麗なプレーが得意な選手たちで構成されたユーゴスラビアは、オシムの表現を借りれば「水を運ぶ選手」が欠けていた。ただしオシムが「分かっていた」という結果を、そのまま受け入れるつもりがなかったのは明白だった。
ユーゴスラビアは、後半に入ると右サイドからピクシーの仕掛けが冴えるようになり、54分、自ら獲得したFKをボダル・ヨジッチの頭に合わせて1点を返す。
するとオシムは即座に動いた。その1分後には、天才肌の象徴とも言えるデヤン・サビチェビッチとサフェト・スシッチを下げている。当時1試合の交代枠は2名しかなかった。
「テクニックがあっても走れない。そんなタイプばかりではなく、走る部分をカバーする選手も必要だということを示したんだ」(オシム)
だが絶好調の西ドイツは、一度ユーゴスラビアに傾きかけた流れを再び引き戻す。63分、主役は主将のマテウスだった。自陣中央で受けると、そのままスピードアップ。ヨジッチの軽いチャージを難なくかわすと、約25mの地を這うミドルシュートを突き刺した。
続いて5分後には、GKのファンブルがあり、ルディ・フェラーが押し込んでダメ押し。懸念された初戦を4-1と快勝し、西ドイツのチーム内の空気は一変したという。
「苦戦が予想された試合を快勝して、これならどことやっても勝てるんじゃないか、と思えるようになった。それから4週間、僕らは本当に集中した。ビールを1滴も飲まないくらいにね。いやいや、これはどれだけ集中したかを喩えた表現だけどね」(ブッフバルト)