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オシムのビジョン、ギドの本音…名役者が共演した90年W杯、西独vsユーゴの真相【名勝負の後日談】

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年05月11日

オシムが「分かっていた」という結果をそのまま受け入れるつもりがなかったのは明白だ

イタリア大会では、ピクシー(妖精)の異名を取ったストイコビッチが華麗なパフォーマンスを見せた。(C) Getty Images

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 均衡が破れたのは28分、西ドイツはセンターバックのトマス・ベルトルトが右サイドに展開し、シュテファン・ロイターがダイレクトで中へ繋ぐと、バイタルエリアでゴールを背にしたローター・マテウスが反転。左足でゴールネットを揺する。

 さらに40分、左サイドでフリーのアンドレアス・ブレーメがフリーで速いクロスを送り、気鋭の俊足FWユルゲン・クリンスマンがダイビングヘッドで叩き込んだ。

 綺麗なプレーが得意な選手たちで構成されたユーゴスラビアは、オシムの表現を借りれば「水を運ぶ選手」が欠けていた。ただしオシムが「分かっていた」という結果を、そのまま受け入れるつもりがなかったのは明白だった。

 ユーゴスラビアは、後半に入ると右サイドからピクシーの仕掛けが冴えるようになり、54分、自ら獲得したFKをボダル・ヨジッチの頭に合わせて1点を返す。

 するとオシムは即座に動いた。その1分後には、天才肌の象徴とも言えるデヤン・サビチェビッチとサフェト・スシッチを下げている。当時1試合の交代枠は2名しかなかった。
「テクニックがあっても走れない。そんなタイプばかりではなく、走る部分をカバーする選手も必要だということを示したんだ」(オシム)

 だが絶好調の西ドイツは、一度ユーゴスラビアに傾きかけた流れを再び引き戻す。63分、主役は主将のマテウスだった。自陣中央で受けると、そのままスピードアップ。ヨジッチの軽いチャージを難なくかわすと、約25mの地を這うミドルシュートを突き刺した。

 続いて5分後には、GKのファンブルがあり、ルディ・フェラーが押し込んでダメ押し。懸念された初戦を4-1と快勝し、西ドイツのチーム内の空気は一変したという。

「苦戦が予想された試合を快勝して、これならどことやっても勝てるんじゃないか、と思えるようになった。それから4週間、僕らは本当に集中した。ビールを1滴も飲まないくらいにね。いやいや、これはどれだけ集中したかを喩えた表現だけどね」(ブッフバルト)
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