【日本代表 隠れ名勝負】“ゾーンプレス”がハマった加茂ジャパンの歴史的快勝劇!欧州勢を相手に躍動したのは…

カテゴリ:連載・コラム

飯尾篤史

2020年05月06日

短期集中連載【日本代表 隠れ名勝負】vol.2 加茂ジャパンの96年ポーランド戦

96年のカールスバーグカップでは、名波や相馬、小村、森島、本田といった、その後の日本代表を支える選手たちが躍動した。

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 ワールドカップやアジア最終予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップといったメジャーな大会ではなく、マイナーな大会や親善試合においても日本代表の名勝負は存在する。ともすれば歴史に埋もれかねない“隠れ名勝負”を取り上げる短期集中連載。第2回は96年、加茂ジャパン時代のポーランド戦を振り返る。(文●飯尾篤史/スポーツライター)

――◆――◆――

 2万人を集めた香港スタジアムが盛大な拍手に包まれる。

 プレミアリーグが大好きな、目の肥えた香港のサッカーファンを興奮させたのは、ポーランド代表ではなく、日本代表だった――。

 旧正月の時期に香港で行なわれる伝統的な国際大会、カールスバーグカップ。96年大会には、香港リーグ選抜、ポーランド、スウェーデン、日本の4チームが顔を揃えた。

 95年に発足した加茂体制にとって2年目。もっともこの頃、加茂ジャパンの評価は芳しくなかった。

 前年、加茂周監督の契約延長に強化委員会からNOが突きつけられ、長沼健会長の鶴の一声でひっくり返されるゴタゴタがあった。いわゆる「腐ったミカン事件」である。

 年が明け、2月上旬の豪州遠征ではオーストラリア代表に0−3と完敗。香港での初戦の相手は、東欧の古豪・ポーランド。主力のユスコビアクやコズニクらを欠くものの、苦戦は必至――。

 ところが、香港スタジアムで展開されたのは、45年ぶりの大寒波を吹き飛ばす、日本のゴールショーだった。

 口火を切ったのは山口素弘だ。29分、右足アウトサイドに掛かったミドルシュートが、鋭いシュート回転でポーランドゴールに吸い込まれた。

 その2分後には、オーバーラップした相馬直樹のクロスに高木琢也が頭で合わせて追加点。39分には立て続けにCKを奪い、最後は小村徳男がダイビングヘッドを決めて、3−0でゲームを折り返す。

 後半に入っても、日本の勢いは止まらない。

 61分には、右サイドから持ち運んだカズが角度のないところからボールをファーサイドネットに鋭く突き刺した。

 圧巻だったのは、5点目だ。右サイドで名波浩が顔を上げた瞬間に高木がファーサイドに流れてマークを外し、その高木の胸元に名波からクロスが届けられる。高木は胸トラップからネットを揺らした。

 ゲーム終盤、カズが右CKから直接ゴールを狙う。これはGKが辛うじて触ってCKに逃げたが、逆サイドのCKに向かうカズに対して客席から拍手が注がれた。手を叩いてそれに応えるカズ。日本のエースの千両役者ぶりを香港のサッカーファンも楽しんでいるようだった。
 
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