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【浦和】引退を決断した鈴木啓太。「子どもの頃から、山あり谷ありだった」という人生を変えたオシム日本代表元監督のひと言、その生き様にリンクするニーチェの哲学

カテゴリ:Jリーグ

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年11月19日

「昼の光に、夜の闇の深さなど分からない」。ニーチェの言葉と結びつくプレーの凄みや深さ。

2012年、「ターニングポイント」について語った鈴木。プロになって、現在のペトロヴィッチ監督をはじめ、指導者との出会いに恵まれたと言う。写真:田中研治

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「結局もがきながらも、一生懸命、無心にやるしかない。100パーセント、やり切るしかない。それで完全に力を出し尽くしたら、あとは楽しむしかないと思える。楽観的というか、もう他に方法がなくて、そこに行き着くんです」
 
 彼の「楽しむ」と言うフレーズには、おそらく私たちには理解できない背景があったようだ。
 
「一歩先はどうなるか分かりませんからね。この数年の間に、一度自分に負けそうになったことがありました。身体のちょっとした変化を感じて……。そこで、一度は投げ出しそうになったサッカー人生でした。その時ですね、100パーセントやれるだけの準備を尽くしたら、あとはとことん楽しんでサッカーをやろうと思えたのは」
 
 こうした発言を踏まえたうえで、今回の発表を読み返すと、鈴木の苦悩の深さがより分かる。
 
 彼はFacebookでこう発表している。
 
「昨シーズン終盤からフィジカル面で不安のあるなかプレーしてきましたが(編集部注:不整脈を患った)、自身の最高のコンディションでなければ、トップを争うこの浦和レッズでプレーすることは簡単ではなく、今のままの自分では力になれないと、クラブ、監督と時間をかけて慎重に話し合ってきました。この決断は苦しく、悔しいものでしたが、チームがたくさんの試練を乗り越え歴史を作ってきたように、私自身もこのことを受け入れ、前に進まなくてはなりません」
 
 身体に不安を抱えたまま、100パーセントの力を出し切れるのか? きっと、できるはずだ――。そう自問自答しながらも、彼は闘い続けてきた。
 
 それでも必要としてくれるクラブがある。プロである以上、それは喜ぶべきことだ。もちろん浦和への特別な想いもある。移籍すべきか、それともこのまま引退すべきか。もうひとつの決断について、時間をかけて下そうというのだ。
 
 鈴木啓太のそんな生き様に結び付く、実存主義の哲学者フリードリヒ・ニーチェの残したふたつの言葉を紹介したい。
 
 人を超えた存在の“超人”が俗世界にやってくるという設定の著書「ツァラトゥストラはかく語りき」に載っているものだ。
 
「昼の光に、夜の闇の深さなど分からない」
 
「深い傷を負った魂は、ふとした経験を積むだけで吹き飛びかねない。それでも彼は勇んで、その橋を渡って行く」
 
 もちろん、マイナス的な要素を抱くことなど、決して本人は望んでいない。ただ、おそらく、そんな「闇」や「傷」を知るからこそ、鈴木のプレーには凄みや深みが備わっている。だから、人を惹きつける魅力があるのだろう。
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