埼玉スタジアムでの初陣は、終了間際に劇的なドラマが生まれる。

[日本 1-0 北朝鮮]10番を背負って初のW杯予選に臨んだ香川真司。動き自体は悪くなかったが、相手GKの好守に遭うなど1点が遠かった。 (C)Getty Images

[日本 1-0 北朝鮮]清武のピンポイントクロスを合わせたのは吉田麻也(20番)。日本の窮地を救った起死回生の一撃に、埼玉スタジアムが歓喜に揺れた。 (C)Getty Images
そして記憶に新しいのが11年9月、ブラジル・ワールドカップ予選の幕開けを告げたアジア3次予選1節の北朝鮮戦だろう。
日本、ウズベキスタン、北朝鮮――。FIFAランキング上は差があるが、1年前の南アフリカ・ワールドカップに出場した日本と北朝鮮、そして同大会のアジア最終予選に進出したウズベキスタンという実力国が同居したグループCは、この3次予選における最激戦区と言えた。
だからこそ、ホームに北朝鮮を迎える初戦の重要性は誰もが分かっていた。負傷により本田圭佑、長友佑都を欠くなかで、日本は集中力を高めて試合に入っていく。
「引いた相手を崩すのは難しい」というのも、近年のアジア予選でよく聞こえてくるフレーズだ。この北朝鮮戦は、まさにそんな試合の典型例。シュート数20対5、ボール保持率66.1%対33.9%と圧倒しながら、どうしても守備的な相手を崩すことができない
84分に北朝鮮に退場が出てさらに攻勢を強めていくなか、待望の先制点が生まれたのは90+4分、CKからだった
キッカーの清武弘嗣はショートコーナーを選択。長谷部誠がボールをキープして相手を引きつけてからフリーの清武に戻すと、右足から放たれたクロスを吉田麻也がヘッドで叩き込み、劇的な決勝点が生まれた。
この1勝が持つ意味は大きかった。続く2節の敵地でのウズベキスタン戦を1-1のドローで終えた日本は、3・4節と格下のタジキスタンにキッチリと連勝し、2試合を残して最終予選進出を決めている。勝負に「たら・れば」は禁物だが、もし北朝鮮戦で吉田の決勝点が生まれていなかったら――。
ワールドカップ予選の戦いに、楽なものなどひとつもない。終了間際にドラマが生まれるケースの多い埼玉スタジアムでの初戦。相手が近年の国際舞台で結果を残していないシンガポールで、国内には楽勝ムードさえ漂うが、就任3か月で迎えるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、その危険性を最も認識しているのかもしれない。
【過去3大会のW杯予選初陣】
■ドイツW杯・アジア1次予選
2004年2月18日/埼玉
vs オマーン ○1-0
[得点者]
93分:久保竜彦
■南アフリカW杯・アジア3次予選
2008年2月6日/埼玉
vs タイ ○4-1
[得点者]
21分:遠藤保仁
22分:ティーラテープ
54分:大久保嘉人
66分:中澤佑二
89分:巻誠一郎
■ブラジルW杯・アジア3次予選
2011年9月2日/埼玉
vs 北朝鮮 ○1-0
[得点者]
90+4分:吉田麻也
日本、ウズベキスタン、北朝鮮――。FIFAランキング上は差があるが、1年前の南アフリカ・ワールドカップに出場した日本と北朝鮮、そして同大会のアジア最終予選に進出したウズベキスタンという実力国が同居したグループCは、この3次予選における最激戦区と言えた。
だからこそ、ホームに北朝鮮を迎える初戦の重要性は誰もが分かっていた。負傷により本田圭佑、長友佑都を欠くなかで、日本は集中力を高めて試合に入っていく。
「引いた相手を崩すのは難しい」というのも、近年のアジア予選でよく聞こえてくるフレーズだ。この北朝鮮戦は、まさにそんな試合の典型例。シュート数20対5、ボール保持率66.1%対33.9%と圧倒しながら、どうしても守備的な相手を崩すことができない
84分に北朝鮮に退場が出てさらに攻勢を強めていくなか、待望の先制点が生まれたのは90+4分、CKからだった
キッカーの清武弘嗣はショートコーナーを選択。長谷部誠がボールをキープして相手を引きつけてからフリーの清武に戻すと、右足から放たれたクロスを吉田麻也がヘッドで叩き込み、劇的な決勝点が生まれた。
この1勝が持つ意味は大きかった。続く2節の敵地でのウズベキスタン戦を1-1のドローで終えた日本は、3・4節と格下のタジキスタンにキッチリと連勝し、2試合を残して最終予選進出を決めている。勝負に「たら・れば」は禁物だが、もし北朝鮮戦で吉田の決勝点が生まれていなかったら――。
ワールドカップ予選の戦いに、楽なものなどひとつもない。終了間際にドラマが生まれるケースの多い埼玉スタジアムでの初戦。相手が近年の国際舞台で結果を残していないシンガポールで、国内には楽勝ムードさえ漂うが、就任3か月で迎えるヴァイッド・ハリルホジッチ監督が、その危険性を最も認識しているのかもしれない。
【過去3大会のW杯予選初陣】
■ドイツW杯・アジア1次予選
2004年2月18日/埼玉
vs オマーン ○1-0
[得点者]
93分:久保竜彦
■南アフリカW杯・アジア3次予選
2008年2月6日/埼玉
vs タイ ○4-1
[得点者]
21分:遠藤保仁
22分:ティーラテープ
54分:大久保嘉人
66分:中澤佑二
89分:巻誠一郎
■ブラジルW杯・アジア3次予選
2011年9月2日/埼玉
vs 北朝鮮 ○1-0
[得点者]
90+4分:吉田麻也