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【安永聡太郎】「マジョルカやビジャレアル以上に困難」久保建英が“アンチ”のヘタフェで求められる高度な役割とは? 「例えるならイタリアの…」

カテゴリ:連載・コラム

木之下潤

2021年02月14日

ヘタフェと久保の相性はどうなのか?

久保がマドリー復帰を果たすためには? (C) Getty Images

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 ただ昨シーズン、ヘタフェもずっとうまくいっていたわけではない。コロナ明けからのハードスケジュールで選手は疲弊し、結果が追いつかなくなっていた。例えば、ラグビー選手が一週間では身体が回復しないのと同じように、ヘタフェの選手もあのファイトスタイルを維持するために回復を図るのは並の努力では難しい。

 クラブ規模でいえば、アトレティコはお金があるからファイトもフットボールもできる選手を獲得できる。しかし、ヘタフェはどちらかを選ぶしかない。

戦える。
走れる。

 これらのチームスタイルを体現できる選手に「フットボールをプレーできる選手」を組み合わせるしか方法はない。ただし、今冬に久保とバルサから連たりのアレニャが加入したからといって、180度違うフットボールスタイルが展開できるかといえば、そういうわけではない。

 そもそもそのような状況に変えられる選手なら、ヘタフェには移籍してこないわけだから。これは厳しい話だけど、久保が目指すレアル・マドリ―の一員になるには「一人でもチームのサッカーを変えられて、初めて同じ土俵に立てる」レベルにならないといけない。

 ヘタフェ、バレンシア、ビジャレアルでチームの王様になれるパレホですら、マドリ―ではサッカーの中で何の会話もできず、何の呼吸のやりとりもできずに試合に出られなかったわけだからね。過去、ヘタフェから優秀な選手がマドリ―に何人かレンタルバックしたけど、半年や一年でまた外に出ていくことを繰り返している。

 これが現実だ。
 
 マドリ―に戻ることを前提に話をするなら、久保は外国人枠で戦わなければいけない。EU圏外のスター級の選手と競い合うことになる。そう考えると、ヘタフェの自らの頭上を越えていく予測不能なボールをどう足下に収め、そのセカンドボールの回収頻度を上げ、なおかつ相手に一刺しできるプレーを示さなければいけない。

 例えると、昔のイタリアのファンタジスタに近い存在にならないといけない。

 再現性の低いサッカーの中で、ボールを持ったときには毎回効果の高いプレーを見せなければいけない立ち位置に久保はいる。そういうチームを選んだ。再現性で比べるなら、間違いなくビジャレアルのほうが同じような局面で同じように足下でボールをもらえたと思うよ。そして、自分がボールを持ったときに同じような立ち位置に味方がいただろうけど、ヘタフェは正直マジョルカより再現性が低いから。

 クリク、ロングボールをフォワードが必死にマイボールにするために競って、その後のセカンドボールを後方にいる攻撃陣が回収するしかない。フォワードがボールを前なのか右なのか左なのかもわからない落とし方になるだろうから、その都度センターバックとの競り合いの状態を読んでサポートしなければいけないことが続く。そうしてやっとボールを自分のものにできる。

 でも、その状況には必ず誰かがサポートしてくれているシチュエーションはあまり存在しない。自らがプレーのスタートを切ったときに選択肢があるわけではなく、ほとんどない状況の中から何かを生み出していかなければいけない。そういう選手でなければ、ヘタフェで輝き続けることは難しい。

 久保に限らず、アレニャにもそういうことが期待されている。

 ボールがたまたまこぼれてきました。そして、たまたま相手に一撃を食らわせました。でも、次の試合は同じボールがこぼれてくるわけではないから。実際に、移籍当初の格下のチームとの対戦に比べると、現在は苦しい状況下にあるでしょう。ヘタフェはどんな相手にもアンチフットボール戦術をとるから。

 まだマジョルカのほうが「フットボールをしよう」としていた環境だったし、実際に久保にボールが回っていたと思う。どうにか久保にボールを預けよう、チームとしてサッカーを構築しようという姿勢はあった。久保は現在の環境がわかっていて「試合に出場すること」を優先してヘタフェに来た。そして、試合には出場できている。

 久保やアレニャは非常に難しい立場にいることは理解できる。スペインという国にいながら別の国に来たくらいのフットボールの違いがあるだろうから。しかし、それを理解して移籍しているわけだし、久保はセットプレーのキッカーを任せてもらったりとスタートとしては信頼を得ている。

 さあ、どうなるのか?
 
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