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【名勝負の後日談】ヴェルディの天敵となった“堅守”マリノス。82セレソンの異分子がもたらした“1-0”の美学

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年04月27日

1993年Jリーグ開幕戦で顔を合わせた両者。ヴェルディの先制点にマリノスの思惑は?

Jリーグ開幕戦となったヴェルディ川崎対横浜マリノス。ラモン・ディアス(9番)の決勝点で横浜に軍配が上がった。写真:サッカーダイジェスト

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 1993年5月15日、こうした流れの中で両雄はJリーグ開幕戦で顔を合わせた。横浜マリノスを率いる清水も、ヴェルディ川崎を指揮する松木も(いずれも当時のチーム名)、まだ30歳台の若さだった。

 やはり序盤からボールを保持し先制したのはヴェルディだった。19分、ヘニー・マイヤーが左サイドから切れ込むと豪快なシュートでネットを揺する。だが、マリノスサイドにまったく動揺はなかった。

 清水は隣りに座る木村浩吉ヘッドコーチに「凄いシュートだな」と、余裕のコメントを発している。
「崩されたわけでもないし、集中は出来ていた」

 また日本代表でも守備の中心選手に成長していた井原正巳も「偶発的なゴール」と意に介していなかった。

 自信の根拠として、堅守速攻を押し進める補強もあった。マリノスもオスカーや元ブラジル代表の名手レナトに代表されるように、ブラジルからの補強を続けて来た。だがJリーグ開幕に向けて「さらに厳しさを表現できる」(清水)アルゼンチン路線に方向転換する。獲得してきたのは、1979年に東京で行なわれたワールドユースの得点王で、セリエAインテルでのスクデットも経験しているラモン・ディアスと、同国代表歴を持つダビド・ビスコンティだった。

 そして微妙に明暗を分けたのが、前半をリードして終えたヴェルディサイドの交代策だった。松木監督はFWの武田修宏を下げて、MFの北澤豪を送り込む。「MFで中途半端なポジションを取るエバートンが気になった」のだという。

 しかしラモスとのコンビで裏を取るのが得意な武田が抜け、マリノス側は「怖さが薄れた」と感じている。しかも後半主導権を握り始めたマリノスは、松木が気になっていたエバートンが、マイヤーと同じように左サイドから同点弾を突き刺した。さらに2分後、今度は最終ラインから井原がロングフィード。木村が頭で落としたボールを水沼が受けてシュートを放つと、一度はGK菊池新吉に阻まれたが、ディアスがプッシュして逆転に成功する。

 結局試合はこのまま終了し、やはりマリノスはヴェルディの天敵として立ちはだかることになった。特に古巣に勝つためにヴェルディに移籍した柱谷は「ただのリーグの1試合ではない」と腹が立って仕方がなかったという。
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