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【名勝負の後日談】「ジーコの技は誰にも止められない」82W杯、ブラジル最高傑作のチームはなぜ敗れたのか?<後編>

カテゴリ:連載・コラム

加部 究

2020年04月22日

脅威だった黄金のカルテット「奇跡を起こすなら、彼らの魔法を消さなければならなかった」

82年W杯に臨んだイタリア代表の面々。序盤はスロースタートながらもブラジルを破って波に乗った。(C) Getty Images

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 イタリアが引いて守備陣形を整えた状態で、ブラジルはGKからビルドアップを始め、最後尾近く右寄りでパスを受けたトニーニョ・セレーゾが、ゆっくりと横パスを送る。だがボールはファルカンとCBルイジーニョの中間地点に流れ、抜け目なく奪い取ったロッシが2点目を決めた。

「ブラジルのDFは、細かく横に繋ぎながらリズムを掴もうとする。逆にそのリズムを壊せば、縦パスを狙いに来る。しかし縦パスは限られたコースを抜こうとするものだから、こちらは読み易くなる。その瞬間がカウンターの出発点になる」(ロッシ)

 イタリア陣営は緻密な戦略を立てていた。例えばジーコと痺れるような駆け引きを繰り広げていたジェンティーレが、もし退場処分を受けた場合の対応策も描いていた。実際に前半でCBのひとり、フルビオ・コロバティが故障で退いた際にも、躊躇なく18歳のジュゼッペ・ベルゴミを送り込んでいる。

 さらに1点をリードして前半を終えると、指揮官はロッシのワントップ移行を指示した。
「戦略の軸はジーコを止めること。ただし他のMF3人にも注意を怠るわけにはいかなかった。流れはこちら側にある。だがあの4人がいる限り一瞬にして変わってしまうこともある。奇跡を起こすなら、彼らの魔法を消さなければならなかった」

 しかしブラジルの魔法は、消えていなかった。67分、左SBのジュニオールが高い位置でキープし、アウトカーブで逆サイドへ展開。受けたファルカンは、斜めに走るトニーニョ・セレーゾの動きにDFが釣られた一瞬の隙を見逃さなかった。セレーゾへパスを送るフェイクを入れると、そのままカットインをして左足を一閃。後に日本代表監督を務めるクールな天才が、思い切り咆哮した。

 普段はローマでチームメイトだったコンティが語った。
「リーダーとしての資質を備え、中盤のバランスの取り方、攻守が切り変わる時の動き、自分がどんなポジションを取り、味方をどう動かしていくのか。すべてにあれほど無駄のない選手を見たことがない」
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