宮本恒靖、葛藤と苦悩の111日間~ガンバ大阪はいかにしてV字回復を遂げたのか

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2018年11月28日

ヤン起用というメッセージ──合言葉は「ハードワーク」

宮本監督がU-23チームで手塩にかけて育てたのが、プロ2年目の高宇洋(28番)だ。ダイナモは抜擢登用に応えて中盤の守備を大いに引き締めた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 報道陣もファンもすべてシャットアウトの非公開練習をみっちりこなした。そして迎えた5日後の第18節、鹿島アントラーズ戦。宮本新監督への期待感もあいまって、ホームゲームには2万8000人を超える大観衆が集まった。宮本は「感動的で熱狂的な光景が広がっていた。彼らを悲しませるようなことがあってはいけない。かならず結果を掴もう!」と檄を飛ばし、選手たちを送り出したという。

 結果は1-1。わずかな期間ながらチームには確かな変化の跡が見て取れた。

 合言葉は「ハードワーク」だ。

 それまでどこかサボりがちだったファン・ウィジョやアデミウソンにも繰り返しビデオを見せて説明し、前線からのチェイシングの重要性を理解させた。選手起用でも、象徴的な若手を先発に抜擢登用している。2年目の高宇洋だ。市立船橋高校卒のダイナモは、宮本がU-23チームで手塩にかけて才能を育んだ秘蔵っ子。90分間を通してタフに闘うヤングタレントを起用することでチームにひとつのメッセージを発信し、刺激を与えるのも狙いだった。

「ヤン(高)を使おうと思ったのは、やっぱり中盤の守備のところに物足りなさを感じていたからで、競争を促進したいという考えもありました。それぞれの選手が特長を出してピッチ上で輝くのが一番。でもその前提というかベースとして、ハードワークを求める。守備の約束を守りながら、例えばヤット(遠藤保仁)ならボールを受けて時間を作りながらゲームを組み立てていく。まずなにをやるべきなのかをみんなに伝えました」

 
 采配デビューの鹿島戦を1-1で終えた新生ガンバ。だがその後、思うようにポイントは積み上げられなかった。先制しながらも終盤の土壇場で追いつかれる、決勝点を奪われるというゲームが相次ぎ、就任からの7試合は1勝3分け3敗。第20節の名古屋グランパス戦では2-0から大逆転負けを喫するという屈辱も味わう。誰もが産みの苦しみを体感していた。

 それでもツネ監督は冷静沈着に、状況を見定めていた。
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