宮本恒靖、葛藤と苦悩の111日間~ガンバ大阪はいかにしてV字回復を遂げたのか

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2018年11月28日

就任当初の目標は「8勝9敗、24ポイント奪取」だった

サポーターがその初陣で目撃したのは、選手とともに全力で闘う熱血漢の雄姿だった。写真:川本学

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 2011年シーズンいっぱいで現役を退き、その後はテレビ解説などをこなしながら、FIFAマスターにも学んだ。サッカーをはじめとしたスポーツを組織論、ビジネス、法律などさまざまな角度から考察する大学院で、見事に修士号を取得する。

 古巣ガンバに戻ったのは2015年だ。アカデミーのジュニアユースで中1チームを担当し、さらに2016年にユースチームの監督となり、翌年にはU-23チームの指揮官を歴任。とんとん拍子でキャリアアップを重ね、今年春のクルピ体制発足時には、トップチームのコーチも兼任した。近い将来に“宮本ガンバ”が誕生するのは既定路線で、ファンもうっすらと明るい展望を描いていたはずだ。

 ところが、キャリアプランは予定よりもずいぶんと早く前倒しになった。

「いつかはトップで監督を務めたい。もちろんその気持ちはあったけど、だいぶ早まったなとは感じました。でも、そういうのって望んだところで、タイミングが合わないとなれないものじゃないですか。自分としては、こういう風にやれば、という算段が少しはあったから引き受けた。就任会見でも話しましたけど、自分を育ててくれたクラブなので、いま助けるのが恩返しになるとも思っていたので」

 
 最初のミーティングで、41歳の青年監督は選手たちに明確な目標を示した。

「なにを置いても残留を果たそう、それがミッションだと。その時点で15ポイントだったんで、あと24ポイント獲る。8勝9敗で乗り切って、最終的に39ポイントを目ざすというのを現実的な目標として掲げた。じゃあそのためになにをすべきか。本来の力を出せば辿り着けるから、日々の練習を大事にしよう、その質を上げようと話しましたね」

 そこからの動きは迅速かつ的確だった。現役時代さながらの情報処理能力と決断力で、チーム改革に乗り出したのだ。

 7月になると宮本はJ3での指揮に専念するため、トップチームの練習に参加していなかった。試合もシーズン当初からスタンド上部に陣取って戦況を見守っていた。あるいはこれが、奏功したのかもしれない。前政権からなにを継続させ、どこに改善ポイントを見出すのか。先を見据えながらの強化がスタートした。

「まずは、守備から。上から試合を観ているかぎり、ちょっと守備の部分のルーズさが目立っていましたから。前線から中盤にかけて連動するところでの決まり事や約束事を、しっかり与えていく。そうすればスムーズになるという考えではいました。攻撃もポジショニングがどうかなという部分があって、良く言えば自由なんやけど、規律のなさがありましたね。自分が監督なら改善すべきだなと、思い描きながら観てはいました。ベースは残しながら細かいところに手を加えていく。そんなイメージでしたね」

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