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【検証】イタリアはなぜ世界王者から予選敗退まで凋落した? 後編:連盟と育成の機能不全

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2017年11月17日

連盟こそ改革に歯止めをかけている張本人だ。

タベッキオ(左)はヴェントゥーラ(右)を切った一方で、自身は連盟に居座った。内部の権力基盤はまだ揺らいでいない。(C)Getty Images

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 今回のW杯予選敗退にポジティブな側面が少しでもあるとすれば、イタリアがこうした現状を改めて直視し、一致団結して改革に踏み切るための絶好の機会になりえることだろう。しかしそのためには、カルチョの世界を統括する立場にあるFIGCがリーダーシップを取り、明確な構想を打ち出して変革に取り組んでいくことが必要だ。
 
 だが問題はまさにそこにある。ここまで見てきたように、FIGCこそが変革に歯止めをかけている張本人だからだ。
 
 2014年からそのトップの座にあるカルロ・タベッキオ会長は、長年に渡りアマチュアリーグ連盟(セリエD以下のアマチュアリーグ統括団体)会長を務め、利害調整や資金分配といった政治的な手腕を武器にして、FIGC内部で権力の階段を上ってきた人物。イタリア・サッカー全体の発展を長期的に見据えた大幅な変革に取り組めば、彼自身がこれまで築いてきた権力基盤を揺るがす危険にもつながりかねない。
 
 予選敗退が決まって以降のイタリア・メディアは、ヴェントゥーラはもちろんだが、それ以上にタベッキオの責任を追及し、その職を辞して責任を取るべきだという論陣を(世論の支持も背景にして)張っている。そもそも、アッズーリを率いるだけの器ではなかったことが誰の目にも明らかになったヴェントゥーラを監督に選んだ責任が彼にあることは明白だ。
 
 にもかかわらずタベッキオは、敗退が決まった直後も、「FIGCのトップは、ピッチ上のスポーツ的な結果についての責任を取る立場にはない」という非公式のコメントを残しただけで、マスコミの前に出てくることもしなかった。そしてその後の2日間沈黙を守った後、11月15日に緊急招集されたFIGC理事会でヴェントゥーラ監督の解任を発表すると、自身は「辞任するつもりはない。私にはFIGC内部からの支持と会長としての実績がある」と開き直った。
 
 FIGCの理事会は、セリエA、セリエB、セリエCの各プロリーグ、アマチュアリーグ、審判協会、監督協会、選手協会という7つの下部団体によって構成されているが、そのうちタベッキオ不支持を打ち出しているのは、元イタリア代表MFのダミアーノ・トンマージが会長を務めるプロサッカー選手協会ただひとつ。残る6団体は監督協会も含め、既得権を保証してくれるタベッキオを支持する姿勢を崩していない。
 
 またタベッキオには、FIFAとUEFAの会長選挙でそれぞれジャンニ・インファンティーノ、アレクサンデル・チェフェリンという現会長2人の選出につながる票の取りまとめに協力したこともあり、両会長の支持と協力を得られる立場にもある。マスコミと世論の風は逆風だが、サッカー界内部の支持基盤は、少なくとも現時点では大きく揺らいでいない。
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