原口の台頭で柏木は危機感を強くしたかもしれない。
原口にとってボランチは本職ではない以上、日本の中盤の守備力は当然、低下した。しかし、「ボールを奪ってから、前に出ていく」(ハリルホジッチ監督)その推進力が、チームの攻撃力を高めたのは間違いない。「“攻撃的には”良かったと思う」と原口自身も試合を振り返っている。
とはいえ、全体の攻守のバランスが崩れ、終盤には二度の決定的なピンチに見舞われたのも事実である。西川周作のビッグセーブがなければ、ハリルホジッチ監督も「美しい夜だった」などと余韻に浸っている場合ではなかったはずだ。
原口のボランチ起用は、リスキーなオプションである。2次予選よりも厳しい戦いとなる最終予選でどこまで機能するかは、現時点では判断が難しいが、それでも「土台、基礎」が固まりつつあるチームの次のステップとして、ハリルジャパンが戦術の幅を広げようとトライしているのは悪いことではない。
「競争意識を植え付けたい」というハリルホジッチ監督の“企み”も透けて見える。2ボランチの組み合わせは、原口の台頭でまたひとつ数を増やした。その意味では、シリア戦で出場の機会のなかった柏木陽介は危機感をさらに強くしたかもしれない。
シンガポール、カンボジアに連勝した昨年の11月シリーズでは、インテンシティ(プレー強度)の高い長谷部や山口、遠藤航とは異なるゲームメーカータイプとして、柏木はその存在価値を高めた。“攻撃力アップ”の貴重な戦力として急浮上したが、その流れは今回の3月シリーズでリセットされたようだ。
“ボランチ原口”は柏木へのメッセージ――。指揮官の本当の狙いがそこにあるとすれば、柏木の今後の巻き返しには大いに期待したい。
同様に、トップ下を巡る争いもヒートアップしてきた。アフガニスタン戦では清武が4ゴールに絡む活躍を披露してみせた。迎えたシリア戦では、「その座は譲らない」と言わんばかりに、先発フル出場した香川が2得点・1アシストと意地を見せた。
初戦のシンガポール戦では躓いたが、終わってみれば圧倒的な力の差を見せつけ、理想的な戦いぶりで2次予選を首位通過し、最終予選への出場を決めたハリルジャパン。揺るぎないベースが築かれると同時に、熾烈な競争によってチーム力はさらに高まりを見せようとしている。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
とはいえ、全体の攻守のバランスが崩れ、終盤には二度の決定的なピンチに見舞われたのも事実である。西川周作のビッグセーブがなければ、ハリルホジッチ監督も「美しい夜だった」などと余韻に浸っている場合ではなかったはずだ。
原口のボランチ起用は、リスキーなオプションである。2次予選よりも厳しい戦いとなる最終予選でどこまで機能するかは、現時点では判断が難しいが、それでも「土台、基礎」が固まりつつあるチームの次のステップとして、ハリルジャパンが戦術の幅を広げようとトライしているのは悪いことではない。
「競争意識を植え付けたい」というハリルホジッチ監督の“企み”も透けて見える。2ボランチの組み合わせは、原口の台頭でまたひとつ数を増やした。その意味では、シリア戦で出場の機会のなかった柏木陽介は危機感をさらに強くしたかもしれない。
シンガポール、カンボジアに連勝した昨年の11月シリーズでは、インテンシティ(プレー強度)の高い長谷部や山口、遠藤航とは異なるゲームメーカータイプとして、柏木はその存在価値を高めた。“攻撃力アップ”の貴重な戦力として急浮上したが、その流れは今回の3月シリーズでリセットされたようだ。
“ボランチ原口”は柏木へのメッセージ――。指揮官の本当の狙いがそこにあるとすれば、柏木の今後の巻き返しには大いに期待したい。
同様に、トップ下を巡る争いもヒートアップしてきた。アフガニスタン戦では清武が4ゴールに絡む活躍を披露してみせた。迎えたシリア戦では、「その座は譲らない」と言わんばかりに、先発フル出場した香川が2得点・1アシストと意地を見せた。
初戦のシンガポール戦では躓いたが、終わってみれば圧倒的な力の差を見せつけ、理想的な戦いぶりで2次予選を首位通過し、最終予選への出場を決めたハリルジャパン。揺るぎないベースが築かれると同時に、熾烈な競争によってチーム力はさらに高まりを見せようとしている。
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)