【イタリア代表】EUROを見据えて導入した「実質4-2-4」の全貌

カテゴリ:ワールド

片野道郎

2015年11月19日

ビルドアップのクオリティー不足をいかに解消するか。

コンテ監督はEUROまでにいかにチームをブラッシュアップするのか。ピルロの処遇はその大きなポイントのひとつだ。(C)Alberto LINGRIA

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 2-2で引き分けたルーマニア戦は、最初の60分は相手の激しいプレッシングに苦しんで攻撃を組み立てることすらままならず、逆に8分にあっさり先制される苦しい戦いとなった。
 
 後半に入って相手のプレスが甘くなったところでようやく主導権を握り、56分と65分にゴールを挙げて逆転したものの、89分に不用意な失点を喫して引き分け止まり。格下相手だったことを考えれば、結果・内容ともに不安が募る一戦となった。
 
 この試合で露呈した最も大きな問題は、ジョルジョ・キエッリーニ、レオナルド・ボヌッチ、アンドレア・バルザーリというDF陣のビルドアップ能力の低さだ。
 
 相手のプレスが厳しい状況では、タイミング良くボールを動かして攻撃を組み立てられず、闇雲にロングパスを蹴り出すか、安全だが出口のない横パスやバックパスに逃げるかしかできなかった。
 
 こんな有様では、崩しの核である両ウイングに良い形でボールを展開してサイド攻撃に結びつけ、危険な状況を作り出すことは困難だ。
 
 現U-21代表には、アレッシオ・ロマニョーリ(ミラン)、ダニエレ・ルガーニ(ユベントス)という高いビルドアップ能力を備えた好CBがいる。しかし、経験やパーソナリティー、リーダーシップという点を考慮すると、A代表でレギュラーを張るのは次のEUROが終わり、ロシア・ワールドカップに向けた新チームになってからだろう。
 
 ただし、今回の2試合は、過去10年のイタリア代表でビルドアップの全権を担ってきたアンドレア・ピルロがコンディション不良で不在。さらに、その後継者と目されるマルコ・ヴェッラッティ、そして正確な組み立てができるダニエレ・デ・ロッシを故障で欠いていた。その点は考慮する必要がある。
 
 とはいえ、フィジカル的な衰えが見える36歳のピルロには、MLSが来春までオフシーズンという大きなハンデがあり、このまま代表引退というシナリオもありうる。ヴェッラッティがその後釜に相応しいパフォーマンスを安定して見せられるか否かは、現時点で未知数だ。
  
 あと半年でコンテ監督がこれらの課題をどのように解消し、「実質4-2-4」の完成度を高められるか。それこそが、EUROにおけるアッズーリの成否を握っているのは間違いない。
 
文:片野道郎
 
【著者プロフィール】
片野道郎/1962年生まれ、仙台市出身。95年からイタリア北部のアレッサンドリアに在住し、翻訳家兼ジャーナリストとして精力的に活動中。カルチョを文化として捉え、その営みを巡ってのフィールドワークを継続発展させる。『ワールドサッカーダイジェスト』では、現役監督のロベルト・ロッシ氏とのコラボによる戦術解説や選手分析が好評を博している。
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