【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|タイでのチャレンジを振り返って

カテゴリ:特集

サッカーダイジェスト編集部

2015年09月30日

数字に縛られて大事なことを見失ってはいけない。

チェンマイFCで指揮を執っていた時期、選手たちがFacebookで共有していたという画像。「クラブの選手とサポーターは最後まで僕を支えてくれました」。

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 最後のエピソード。
 
 ある時、チェンマイでできた友人が、自分のお父さんが亡くなる瞬間の話を僕にしてくれた。
 
 この話は数字、僕らの世界の数字は結果。商売なら売上の話だ。そして「父が亡くなる時に数字を見ていた」と言うのだ。何か? 病院のベットの上で横になっている父の顔ではなく、横に置いてあった脈拍、血圧の機械。あの脈拍がゼロになるのを見て、死んでしまったんだと……。
 
 人間は(特に日本人)数字で感じ過ぎている。血圧を測って調子が悪い。体重計を見て身体が重い。スポーツテストの結果を見て足が速い。テストの点数を知って、彼は頭が良い。得点を入れたから、良い選手だと決めつける……。
 
 なにも数字に縛られなくても、身体の調子はその日の気分や動きのしなやかさである程度分かるものだろう。サッカーでは足が遅くても速くプレーできる。100メートル走が速ければスピードのある選手かといったらそうではない。テストができなくても頭の良い奴は腐るほどいるような気がする。ゴール数は少なくても必要な選手はたくさんいる。
 
「お父さんが死ぬ瞬間、顔を見て手を握ってという心が今の俺らには必要なんだ」と教えてくれたのはここにいるタイの人々だと思う。
 
 そして心で、日本の日本人のやるサッカーを追求していく監督を目指さなくてはならないと。
「人生は肯定と否定を繰り返していくものである」
 
 今日、感じたことは明日感じられることかは分からない。正しいか? 間違っているか?これもすべて答えがあるものかは分からない。ただ自分が進もうとする道を、自信を持って信じて進もうとすること。それが間違っていたとしても、またやり直せば良い。そんな事を気づかせてくれた「このタイ」がこのチェンマイが好きになった。
 
 タイでこの「指揮官コラム」を書くのはこれが最後になる。タイでの経験を文字にして伝えるには余りにも膨大な文字数になってしまいそうだ(笑)。実はこのコラム、文字数も入稿時間もなにも数字で縛られていない。
 
 ただ言葉だけで、文章だけで伝えるのは難しい……。
 
 そんなコラムを読んでくれた人たちに感謝して明日、チェンマイの地を発つ。この9か月をまた思い出す日は、思い出す暇もないチャレンジを終えた後であろう。
 
 その日までチェンマイとはお別れだ……。ありがとう「チェンマイ」。
 
2015年9月29日
三浦泰年
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