【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|タイでのチャレンジを振り返って

カテゴリ:特集

サッカーダイジェスト編集部

2015年09月30日

心の大事さと自分を信じることの大切さを改めて感じた。

チェンマイFCでは、日本ではできない様々な体験をしたという。そして、このタイで「心の大事さを改めて感じた」と語っている。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 発明家が、発明を実現する一日前に諦めてしまったら、発明はなされず発明家でなくなってしまうように、発明されることを(出来ることを)信じなくてはいけない。
 
 シーズン途中の退任は、“もったいない”の一言だし、自分にはチェンマイFCを強い集団にまとめる自信はあった。ただ、チェンマイFCというクラブのオーガナイズ、組織であればこうなるのは時間の問題だった。いつかはそうなることを察していたし、想像できた。
 
 クラブ自身が変わらなかったとしても、コントロールできる手はある。それは数字、サッカーで言えば結果だ。勝ち星で証明し、納得させるという方法しかなかったが……。
 
 しかし達成できたこともいくつかある。まず、選手との信頼関係は大きな成果だ。彼らは僕を尊重し、離れてからも誇りに感じてくれている。それは一緒に仕事ができたということについてだ。
 
 僕は日本でそうして来たように、「本氣」でサッカーを通し、トレーニングのなかでチームをマネジメントしていった。具体的に言えば、全選手にやる気を持たせることを実行していったのだ。タイ人が一番嫌がるという「厳しさ」を伴うやり方でだ。
 
 練習に全員来るのは当たり前だ。日本では!
 
 タイでは当たり前ではない。2、3人の遅刻者が出るのは当たり前。来ない理由を言えない選手も時々いる。その程度のメンタルしか持たない選手に厳しく接していくのは、どれだけ難しいことか。まず選手たちに悪気がないのだから……。
 
 そんな選手たちが時間どおりに来るようになる。「監督を信じてる」と言ってくる。こちらが「本氣」で接すれば、選手たちにもその想いが通じたようだった。
 
 もちろん、タイ人から学んだこともたくさんある。またはチェンマイに住む日本人からも学ぶことは多かった。タイ人の心の優しさ、純粋な氣持ち、変な勘繰りや妬みがない人間性。もちろんタイで接した人はすべてではないのだから、タイ人が皆そうなのかは分からない。
 
 同じように練習に来ないのがタイ人、タイの選手ではない。他の27人の選手たちは来ているのだから……。3人の遅刻だけで「タイ人は練習に来ない」とは語れない。
 
 そして、このタイという地で、僕は心の大事さを改めて感じることになった。そして自分を信じなければいけないということを。
【関連記事】
【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|タイでのラストゲームを前に…
【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|新天地が決定! 新たなトライを決断したわけ
【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|テロ騒ぎにも平常心で…9月には再びタイで指揮を執るだろう
【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|終戦記念日をチェンマイで迎えて
【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|ムエタイから学べるサッカーの動き
新連載!! 【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト ガンナーズを一大特集!
    5月2日発売
    プレミア制覇なるか!?
    進化の最終フェーズへ
    アーセナル
    最強化計画
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ