【指揮官コラム】特別編 三浦泰年の『情熱地泰』|終戦記念日をチェンマイで迎えて

カテゴリ:特集

サッカーダイジェスト編集部

2015年08月18日

未来を良くするために大切にしなければならない日。

チェンマイで行なわれた戦没者慰霊祭。この地でも多くの人々が戦争で命を落としている。

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 8月15日の終戦記念日、僕はチェンマイで、インパール作戦によって戦死した日本兵が眠るお墓のあるお寺の『戦没者慰霊祭』に、友人に誘われて参列した。チェンマイは、インパール作戦でインドやビルマに出撃して行った日本兵たちが撤退してくる場所であったのだ。
 
 僕自身、チェンマイにそうした歴史があったことは知らなかった。節目となる戦後70年の年にそんな場所へ連れて行ってくれ、終戦記念日にこうした式典が行なわれていることを教えてくれる人に出会えたことで、また戦争というものについて考え、感じることができた。そしてこういう機会を得られたのも、やはりこのチェンマイに監督として来たからに他ならない。
 
 慰霊祭は、日本からのテレビ(NHK)中継が日本時間の午後0時(タイ時間午前10時)からあり、それを日本人とタイ人の約100人の参列者が視聴することから始まった。
 
 中継の冒頭では『君が代』の斉唱があり、自分としてはジーンと来るものがあった。それは戦争という過去や終戦記念日ということとは別に、自分自身が日の丸を背負い日本の代表として戦った日々を思い出させるからだ。また『君が代』ではないが、タイリーグの試合前にはタイ国王讃歌が流れ、それに気持ちを高ぶらせて戦ったそう遠くはない過去も思い出させてくれる。
 
 そんな自分が久しぶりに『君が代』を耳にし、歌った。日本人である自分を再認識するとともに、この8月15日の尊さを感じることになった。
 
 戦争の終結を迎えたこの日に対して、多くの人々が様々な想いを抱くはずだ。国内では多くの賛否両論が巻き起こるのだろう。
 
 現在を生きる僕らは、当時の戦争を、起きてしまった過去として見ている。だから、その当時に必死に日本のために生きた日本人たちに、日本人の僕たちが悪く言うことはないだろう。それよりもこの日が普通の日で通り過ぎ、今の若者がなにも感じることなく、時間が過ぎてしまうことのほうに違和感を覚えてしまうのだ。
 
 この慰霊祭には、僕の友人が20代の若者3人と30代のひとりを誘い、僕が日本から来た63歳の友人を誘って7人で参列した。友人は、10年近く毎年訪れているというが、今までで一番人数が多かったと言っており、誘ってもらった若者は彼に感謝していたと言っていた。
 
 小さな出会いに小さな出来事だったかもしれないが、お互いの人生にとって大きなことだったと思う。僕も誘ってくれた友人に感謝している。
 
 僕はあまり過去について思うことはない。もちろん戦争の過去を風化させないことは大事だが、未来にも目を向けたい。きっと、当時の日本人も未来のために現在を必死に生きたと思う。そして、未来を良くするためにこの日(過去)を大切にすることは、やはり必要だ。
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