柏U-15で自分の人生に大きな影響を及ぼす指導者と出会う
だが初めて参加したトレセンは、宏樹に痛烈なショックを与えた。大半が柏U-12のメンバーで構成される柏市トレセンには、自分よりも上手い選手がゴロゴロいたからだ。
そのなかのひとり、柏U-12の工藤壮人(現ブリスベン・ロアーFC)は、自分よりもひと回り身体の大きい柏マイティーのストライカーを見て、「ずいぶんデカイ奴がいるなぁ」との印象を抱いたという。
柏U-12のメンバーとの会話はほとんどなかったが、トレセンでは工藤、比嘉厚平(現・柏アカデミーコーチ)、指宿洋史(現・清水エスパルス)ら、のちに“黄金世代”と呼ばれる選手たちとの邂逅があった。
人見知りの性格ゆえ最初は馴染めなくとも、環境に適応するにしたがい持ち味を発揮し始める一面は、昔も今も変わらない。3回、4回とトレセンに参加していくうちにチームに慣れると、いつしかポジションを獲得していた。そのエピソードは、まるで柏のトップチーム昇格後、しばらく潜伏期間をおいて出場機会を手にした時と重なるものがある。
柏マイティーやトレセンでの活躍が目に留まり、小学6年になると柏U-12の練習にも参加した。中学でレベルの高いチームに行くか行くまいか悩んだ挙句、柏U-15への入団を決意。無事セレクションを通過して、2003年からは黄色のユニホームを身に纏うことになった。
小学生時代まではチームメイトから一目置かれ、同年代の間で“ガキ大将”のポストにいた宏樹だったが、レベルの高い選手が揃う柏U-15では、一転して”いじられキャラ”になった。ただし、柏マイティー時代もふたつ年上の子たちからはいじられ、非常に可愛がられていたらしく、もともと“ボス”と呼ばれるようなタイプではなかったことが分かる。
そのなかのひとり、柏U-12の工藤壮人(現ブリスベン・ロアーFC)は、自分よりもひと回り身体の大きい柏マイティーのストライカーを見て、「ずいぶんデカイ奴がいるなぁ」との印象を抱いたという。
柏U-12のメンバーとの会話はほとんどなかったが、トレセンでは工藤、比嘉厚平(現・柏アカデミーコーチ)、指宿洋史(現・清水エスパルス)ら、のちに“黄金世代”と呼ばれる選手たちとの邂逅があった。
人見知りの性格ゆえ最初は馴染めなくとも、環境に適応するにしたがい持ち味を発揮し始める一面は、昔も今も変わらない。3回、4回とトレセンに参加していくうちにチームに慣れると、いつしかポジションを獲得していた。そのエピソードは、まるで柏のトップチーム昇格後、しばらく潜伏期間をおいて出場機会を手にした時と重なるものがある。
柏マイティーやトレセンでの活躍が目に留まり、小学6年になると柏U-12の練習にも参加した。中学でレベルの高いチームに行くか行くまいか悩んだ挙句、柏U-15への入団を決意。無事セレクションを通過して、2003年からは黄色のユニホームを身に纏うことになった。
小学生時代まではチームメイトから一目置かれ、同年代の間で“ガキ大将”のポストにいた宏樹だったが、レベルの高い選手が揃う柏U-15では、一転して”いじられキャラ”になった。ただし、柏マイティー時代もふたつ年上の子たちからはいじられ、非常に可愛がられていたらしく、もともと“ボス”と呼ばれるようなタイプではなかったことが分かる。
ほどなくして宏樹は、柏U-15で自分の人生に大きな影響を及ぼす指導者、吉田達磨(現シンガポール代表監督)と出会う。
「走り方が綺麗でスタイルが良い。馬力があって、ボールを躊躇なく前へ運ぶ選手。基本的に今と変わりませんが、良い意味でのトライを繰り返しては、失敗している子でした」
それが、吉田が語る中学時代の宏樹の印象だ。柏U-15ではいくつかの転機が訪れた。そのひとつがポジションの変更である。
「コンバートなんて大げさなものではなく、育成年代にはよくある、いろいろなポジションもやらせてみようという経験の一部です。アタッカーに置いてレギュラーを取れないかと言ったら、決してそんなことはなかったと思いますが、戦術的な部分を整理したい考えがありました。酒井は戦術を理解しないでもやれることがたくさんありました。しかし、プロとしてフィジカルの強さが売りになるにしても、もっといろいろなプレーができたほうが酒井も楽しくなるんじゃないかと思いました」
吉田は選手が元来持つ素材の部分には手を加えない。宏樹の場合、質の高いキック、スペースに合わせるクロスなどがそれに当たる。反面、SBとして見た時に、攻守両面におけるポジショニング、オーバーラップを仕掛けるタイミングに関しては修正が必要だった。
「走り方が綺麗でスタイルが良い。馬力があって、ボールを躊躇なく前へ運ぶ選手。基本的に今と変わりませんが、良い意味でのトライを繰り返しては、失敗している子でした」
それが、吉田が語る中学時代の宏樹の印象だ。柏U-15ではいくつかの転機が訪れた。そのひとつがポジションの変更である。
「コンバートなんて大げさなものではなく、育成年代にはよくある、いろいろなポジションもやらせてみようという経験の一部です。アタッカーに置いてレギュラーを取れないかと言ったら、決してそんなことはなかったと思いますが、戦術的な部分を整理したい考えがありました。酒井は戦術を理解しないでもやれることがたくさんありました。しかし、プロとしてフィジカルの強さが売りになるにしても、もっといろいろなプレーができたほうが酒井も楽しくなるんじゃないかと思いました」
吉田は選手が元来持つ素材の部分には手を加えない。宏樹の場合、質の高いキック、スペースに合わせるクロスなどがそれに当たる。反面、SBとして見た時に、攻守両面におけるポジショニング、オーバーラップを仕掛けるタイミングに関しては修正が必要だった。