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「僕は二重人格なんです」いつも母親の背中に隠れていた少年がファイターと化すまで【酒井宏樹のルーツ探訪/東京五輪】

カテゴリ:日本代表

鈴木潤

2021年07月29日

謙虚で優しい性格は不変もピッチに立てば豹変する

東京五輪でも右サイドで躍動。オーバーエイジとしてさすがの存在感を見せつける。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 しかし12年以降は順風満帆だったわけではない。ハノーファーの最初の2シーズンはサブに甘んじる機会が多く、「自分は海外でも通用する」と思って海を渡った自らの甘さを痛感した。

 日本がベスト4まで勝ち進んだ12年のロンドン五輪は初戦のスペイン戦で左足首を負傷し、個人的には不本意な出来に終始した。さらに、14年のブラジル・ワールドカップは代表メンバーに選ばれたものの、出場機会は1試合もなく、帰国した際には「悔しい想いすらできなかった」と同大会を振り返った。

 ただ、謙虚な性格の宏樹は自身を客観視する目を持ち、うまくいかない原因を把握して自らの成長に変えられる選手だ。ドイツでの4年間は苦しいことのほうが多かった。その苦しい経験を乗り越え、糧にしたからこそ、16年7月に移籍したオリンピック・マルセイユで定位置を勝ち取り、フランス国内でそのプレーを絶賛され、日本代表でも不動の右SBへと変貌を遂げたのである。

 柏マイティーの事務所には、宏樹がこれまで在籍したクラブと日本代表のユニホームが飾られ、そこには宏樹のサインが入れられている。
 
「小学校の卒団式に、(宏樹の)お母さんには『怪我をしない限りプロになれると思います』と伝えたんです。当時、私も先にサインを貰っておこうかなと言っていました。それが現実になりましたね」(倉持)

 25年前、いつも母親の背中に隠れていた人見知りでおとなしい少年は、何度も何度も壁にぶち当たりながら、自身の弱さを克服してきた。常に謙虚で、誰にでも優しい性格は今でも変わらないが、彼自身が「サッカーでは二重人格なんです」と冗談を飛ばすように、ピッチの中では一転して戦うフットボーラーへと豹変する。

 ドイツとフランス、そしてロンドン五輪と二度のワールドカップを経て凄みを増したそのプレーの数々を、宏樹は自国開催の五輪で余すところなく発揮することだろう。(文中敬称略)

取材・文●鈴木 潤(フリーライター)

※サッカーダイジェスト2021年7月22日号から転載。

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