エネルギーの源はフォア・ザ・チームの精神が浸透した個の力。

シーズンのなかで紆余曲折を経験しながら、優れた個が融合し、最終的に極上の組織へと進化した。強者としてのサイクルは終わることなく、バルサは新たな時代に突入する。 (C) Getty Images
この一戦でメッシに勝るとも劣らない評価を受けたのが、セルヒオ・ブスケッツだ。
「もはやこれ以上シンプルに振る舞うのは不可能というレベル」(エル・パイスのルイス・マルティン記者)、「持ち前の戦術眼を活かしながらラインの押し上げ役を担い、前線の3人をサポートする一方で、劣勢時には3人目のCBと化して、相手の攻撃を跳ね返した」(エル・パイスのジョルディ・キシャーノ記者)と称賛の声が相次いだ。
前述のメッシ、そしてチームのプレースタイルが変化するなかで、考え、悩み、チャレンジし続けたシーズンのラストゲームでマン・オブ・ザ・マッチに輝き、「苦労が報われた」と称賛されたアンドレス・イニエスタとともに、ブスケッツは今後、シャビに代わり、チームの中心としてバルサスタイルを継承していくのは間違いない。
ところでバルサが苦戦したのは、もちろんユベントスの健闘の結果でもある。なかでもアルバロ・モラタは、3試合連続ゴールとなる同点弾を決めた他、カルロス・テベスのパートナーとして出色の働きを見せた。
ASのアルフレッド・レラーニョ編集長はこのモラタを引き合いに出して、カリム・ベンゼマを競争からプロテクトするために昨夏、この気鋭のストライカーを放出したマドリーフロント陣の補強策を改めて批判している。
さて、6シーズン連続無冠というクラブ史上ワーストの暗黒時代を経て、2004-05シーズン以降、バルサが獲得したタイトルは、これでトータル24。この快挙について、「転換期と位置付けられていたシーズンに、まさか三冠達成とは予想だにしなかった」と、『スポルト』紙のリュイス・ミゲルサンス記者は驚きを隠さない。
一方、『カナル・プリュス』の名物実況アナウンサーであるカルロス・マルティネスは、「バルサはこの10年間、フットボール界のトップに君臨し続けている。このようなチームは記憶にない。これは歴史的偉業だ。特に、“サイクルの終わり”をさかんに指摘する周囲の声に打ち勝っての覇権奪回は、特筆に値する」と評するなど、反応は様々だ。
そんななかで、スポルト紙のジョアン・マリア・バトリェ記者はこう意見する。
「このチームのエネルギーの源は、個の力の結晶にある。留意すべきは、その個の力がチーム全員のフォア・ザ・チームの精神に支えられている点だ。大エースのメッシを筆頭に、数多くの世界的なクラックが揃うが、個人プレーに走る選手は誰ひとり存在しない。このチームスピリッツが失われない限り、バルサの時代はまだまだ続くはずだ」
試合後、注目される進退問題について質問され、「今は大いに祝うべきだ。今夜はとても長い夜になる」とはぐらかしたルイス・エンリケは、こう断言している。
「バルサは、常勝を求められるクラブだ。常にタイトル獲得を栄養剤にしながら、成長してきたとも言えるだろう。これからも、そのフィロソフィーは変わらない。我々は高みを目指すのみだ」
最強軍団に終わりはない――。
構成・文:下村正幸
【ゲームPHOTOギャラリー】バルサ3-1ユーベ
「もはやこれ以上シンプルに振る舞うのは不可能というレベル」(エル・パイスのルイス・マルティン記者)、「持ち前の戦術眼を活かしながらラインの押し上げ役を担い、前線の3人をサポートする一方で、劣勢時には3人目のCBと化して、相手の攻撃を跳ね返した」(エル・パイスのジョルディ・キシャーノ記者)と称賛の声が相次いだ。
前述のメッシ、そしてチームのプレースタイルが変化するなかで、考え、悩み、チャレンジし続けたシーズンのラストゲームでマン・オブ・ザ・マッチに輝き、「苦労が報われた」と称賛されたアンドレス・イニエスタとともに、ブスケッツは今後、シャビに代わり、チームの中心としてバルサスタイルを継承していくのは間違いない。
ところでバルサが苦戦したのは、もちろんユベントスの健闘の結果でもある。なかでもアルバロ・モラタは、3試合連続ゴールとなる同点弾を決めた他、カルロス・テベスのパートナーとして出色の働きを見せた。
ASのアルフレッド・レラーニョ編集長はこのモラタを引き合いに出して、カリム・ベンゼマを競争からプロテクトするために昨夏、この気鋭のストライカーを放出したマドリーフロント陣の補強策を改めて批判している。
さて、6シーズン連続無冠というクラブ史上ワーストの暗黒時代を経て、2004-05シーズン以降、バルサが獲得したタイトルは、これでトータル24。この快挙について、「転換期と位置付けられていたシーズンに、まさか三冠達成とは予想だにしなかった」と、『スポルト』紙のリュイス・ミゲルサンス記者は驚きを隠さない。
一方、『カナル・プリュス』の名物実況アナウンサーであるカルロス・マルティネスは、「バルサはこの10年間、フットボール界のトップに君臨し続けている。このようなチームは記憶にない。これは歴史的偉業だ。特に、“サイクルの終わり”をさかんに指摘する周囲の声に打ち勝っての覇権奪回は、特筆に値する」と評するなど、反応は様々だ。
そんななかで、スポルト紙のジョアン・マリア・バトリェ記者はこう意見する。
「このチームのエネルギーの源は、個の力の結晶にある。留意すべきは、その個の力がチーム全員のフォア・ザ・チームの精神に支えられている点だ。大エースのメッシを筆頭に、数多くの世界的なクラックが揃うが、個人プレーに走る選手は誰ひとり存在しない。このチームスピリッツが失われない限り、バルサの時代はまだまだ続くはずだ」
試合後、注目される進退問題について質問され、「今は大いに祝うべきだ。今夜はとても長い夜になる」とはぐらかしたルイス・エンリケは、こう断言している。
「バルサは、常勝を求められるクラブだ。常にタイトル獲得を栄養剤にしながら、成長してきたとも言えるだろう。これからも、そのフィロソフィーは変わらない。我々は高みを目指すのみだ」
最強軍団に終わりはない――。
構成・文:下村正幸
【ゲームPHOTOギャラリー】バルサ3-1ユーベ