バルサに「普段通りのサッカー」を取り戻させたドリブル突破。
UEFA公式サイトのライブ速報などにも上がらない、それは一見なんでもないプレーのようだった。
だがそれこそ、勝負の行方を大きく左右した、文字通りのターニングポイントだった。開始2分過ぎのネイマールのドリブル突破である。
キックオフ直後、バルセロナはいきなり二度のピンチを迎えた。
開始40秒過ぎ、GKからのパスを受けたマスチェラーノがモラタのプレッシャーを受けてパスミス、これを拾ったマルキージオからテベスへパスを通され、ファーストシュートを浴びた。
直後の1分過ぎ、ゴールキックを自陣深くで受けたマスチェラーノからジョルディ→ブスケッツと繋ぐが、ビダルとモラタに寄せられたブスケッツがマスチェラーノへ戻したワンタッチパスの精度が乱れる。やや慌てたマスチェラーノは足を滑らせコントロールしきれず、CKを献上する。
テベスのシュートは枠を外れ、CKも致命傷にはならなかったものの、バルサが続けざまに肝を冷やしたのは間違いない。しかも、個々の初歩的なミス絡みでだ。浮足立っても不思議ではない。
この嫌なムードを一気に払拭したのが、ネイマールの「いつものプレー」だった。
2分過ぎ、ハーフウェーライン手前の左サイドでジョルディからボールを受けて前を向いた背番号11は、前をリヒトシュタイナーに塞がれながらも、一瞬タメを作った後、一気にタッチライン際の突破を図る。
結局、このチャレンジは後方から追ってきたモラタにカットされ、ボールは敵陣でタッチラインを割っている。
しかし、このネイマールの何気ないお馴染みのプレーが、バルサに「落ち着き」をもたらし、「普段通りのサッカー」を取り戻させた――。そう言えるのではないだろうか。
実際、キックオフからの流れがここで一旦途切れた。自陣に入ったユーベは限定的なハイプレスを仕掛けられなくなり、バルサはひと息つけた。
じっくりパスを回しながら、メッシのサイドチェンジを落としたジョルディからネイマールへ、そしてイニエスタへと繋ぎ、最後はラキティッチが流し込んだ4分の先制点は、「普段のバルサ」らしいゴールだった。
前半に何度かあった速攻からの好機をゴールに結びつけられなかったユーベの痛恨、55分のモラタの同点ゴールを境にゲームはオープンになり、テクニックとアジリティで上回るバルサに有利な展開になったこと、そして68分のスアレスの逆転弾を導いたメッシの超人的なドリブル突破なども、勝負を分けたポイントに数えられるだろう。
だが、2分のネイマールの「いつものプレー」こそが、バルサをいきなり襲った二度の窮地から救い、試合展開に計り知れない影響を及ぼした――。それは間違いないだろう。
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト特派)
【ゲームPHOTOギャラリー】バルサ3-1ユーベ
だがそれこそ、勝負の行方を大きく左右した、文字通りのターニングポイントだった。開始2分過ぎのネイマールのドリブル突破である。
キックオフ直後、バルセロナはいきなり二度のピンチを迎えた。
開始40秒過ぎ、GKからのパスを受けたマスチェラーノがモラタのプレッシャーを受けてパスミス、これを拾ったマルキージオからテベスへパスを通され、ファーストシュートを浴びた。
直後の1分過ぎ、ゴールキックを自陣深くで受けたマスチェラーノからジョルディ→ブスケッツと繋ぐが、ビダルとモラタに寄せられたブスケッツがマスチェラーノへ戻したワンタッチパスの精度が乱れる。やや慌てたマスチェラーノは足を滑らせコントロールしきれず、CKを献上する。
テベスのシュートは枠を外れ、CKも致命傷にはならなかったものの、バルサが続けざまに肝を冷やしたのは間違いない。しかも、個々の初歩的なミス絡みでだ。浮足立っても不思議ではない。
この嫌なムードを一気に払拭したのが、ネイマールの「いつものプレー」だった。
2分過ぎ、ハーフウェーライン手前の左サイドでジョルディからボールを受けて前を向いた背番号11は、前をリヒトシュタイナーに塞がれながらも、一瞬タメを作った後、一気にタッチライン際の突破を図る。
結局、このチャレンジは後方から追ってきたモラタにカットされ、ボールは敵陣でタッチラインを割っている。
しかし、このネイマールの何気ないお馴染みのプレーが、バルサに「落ち着き」をもたらし、「普段通りのサッカー」を取り戻させた――。そう言えるのではないだろうか。
実際、キックオフからの流れがここで一旦途切れた。自陣に入ったユーベは限定的なハイプレスを仕掛けられなくなり、バルサはひと息つけた。
じっくりパスを回しながら、メッシのサイドチェンジを落としたジョルディからネイマールへ、そしてイニエスタへと繋ぎ、最後はラキティッチが流し込んだ4分の先制点は、「普段のバルサ」らしいゴールだった。
前半に何度かあった速攻からの好機をゴールに結びつけられなかったユーベの痛恨、55分のモラタの同点ゴールを境にゲームはオープンになり、テクニックとアジリティで上回るバルサに有利な展開になったこと、そして68分のスアレスの逆転弾を導いたメッシの超人的なドリブル突破なども、勝負を分けたポイントに数えられるだろう。
だが、2分のネイマールの「いつものプレー」こそが、バルサをいきなり襲った二度の窮地から救い、試合展開に計り知れない影響を及ぼした――。それは間違いないだろう。
取材・文:白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト特派)
【ゲームPHOTOギャラリー】バルサ3-1ユーベ