“日本人監督”呂比須ワグナーが母国で抱く新たな夢

カテゴリ:Jリーグ

沢田啓明

2015年05月29日

「Jリーグの判断基準はよく分からないけど、今なら僕のことを監督として認めてくれるんじゃないのかな」

クリシューマ監督時代の呂比須。日本人監督がブラジル1部リーグで指揮を執るのは初めてのことだった。 写真:Getty Images

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 だが、これによって呂比須の監督としての評価は上がり、昨年末、ゴイアス(州選手権1部、全国リーグ1部)から好条件で招かれた。
 
 ゴイアスでは、州選手権で8勝4分1敗、コパ・ド・ブラジルでも2戦2勝と結果を出していたが、今年の4月初めに解任された。その理由について、地元紙は「成績は良かったが、クラブ上層部との間に軋轢があった」と報じている。
 
 この件について尋ねてみると、呂比須は次のように答えてくれた。

「下部組織育ちの選手を優先的に起用してくれ、とクラブ役員から注文を付けられていたんだ。本来、僕は若手を積極的に使うタイプ。でも、まだ準備ができていない選手を起用するわけにはいかない。それは選手のためにも良くないと思うからなんだけど、このことで役員との関係が悪化したんだ」
 
 柔和なイメージとは裏腹に、自らの信念は決して曲げない。呂比須は自分らしさを貫き、職を失った。
 
 2013年以降の監督としての成績は、ブラジル全国リーグ1部で15試合(4勝5分6敗)、2部で18試合(10勝4分4敗)、コパ・ド・ブラジルで2試合(2勝)、州リーグ1部で41試合(21勝10分10敗)。合計76試合で、37勝19分20敗。全国リーグの1部と2部に限れば、33試合で14勝9分10敗だ。
 
 今シーズンのブラジル全国リーグも5月上旬に開幕しているが、5月中旬の時点で呂比須はフリーの身だ。しかし、ブラジルのクラブは極めて短期間に監督のクビをすげ替える。着実に実績を積み重ねてきた呂比須が、近い将来、全国リーグ1部か2部に属するクラブから、新監督として招かれる可能性は非常に高い。
 
「個人的には、この2年余りで多くの経験を積み、指導者としてかなり成長したと思う。Jリーグの判断基準はよく分からないけど、今なら僕のことを監督として認めてくれるんじゃないのかな」
 
 夏が過ぎ、少し肌寒くなったサンパウロで、呂比須は柔らかい笑顔を浮かべた。

恩師セホーン監督(左)との二頭体制に挑んだG大阪ヘッドコーチ時代。開幕から黒星が続いたとはいえ、もう少し時間が欲しかったと語る。 写真:サッカーダイジェスト

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