“日本人監督”呂比須ワグナーが母国で抱く新たな夢

カテゴリ:Jリーグ

沢田啓明

2015年05月29日

「日本人がブラジル全国リーグ1部のチームの監督を務めたのは僕が最初。誇らしかったよ」

快くインタビューに応じてくれた呂比須。ブラジルでの近況から現役時代の話まで、長時間に渡って話をしてくれた。 写真:沢田啓明

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 今季の開幕直後は不振に見舞われたG大阪だったが、その後は好調を維持し、J1第1ステージでは上位争いを展開。アジア・チャンピオンズリーグでもベスト8進出を決めるなど、昨季の三冠王者は今、新たな黄金時代を迎えている。
 
 しかしそんな彼らも、わずか3年前には屈辱的なシーズンを過ごした。リーグ序盤戦から低迷し、まさかのJ2降格……。その混乱のきっかけとなったのが、セホーン監督と呂比須ヘッドコーチによる“二頭体制”だった。
 
 フランス・ワールドカップ日本代表戦士の指導者としてのJリーグ挑戦――。それは、あまりにも短い時間で幕を閉じた。しかし不屈の闘志を持つ呂比須ワグナーは、2012年に味わった失意を糧に、母国ブラジルでプロ監督として着実に歩みを進めている。
 
――◆――◆――
 
 2012年3月末にG大阪を退団してから、3年2か月。呂比須は、あの時の悔しさを決して忘れていない。
 
「シーズンが始まってわずか5試合、20日で解任された。(開幕から公式戦5連敗だったが)もっと時間を与えてほしかった、というのが本音」
 
 ただし、監督就任を認めてくれなかった日本協会(編集部・注/取得済みの監督ライセンスが、Jクラブを指揮するのに必要なS級ライセンスと認められず、承認が下りなかった)やJリーグ、G大阪に対する恨みはないと言う。
 
「サッカーに対する考え方がよく似ているサンパウロ時代の恩師セホーンを監督に推薦し、自分はヘッドコーチになった。ただ、自分の考えを彼に進言することが多く、事実上の“二頭体制”になったことは失敗だった。良い成績を残せなかったことを、ガンバのクラブ関係者とサポーターには申し訳なく思っている」
 
 その後、ブラジルサッカー連盟の指導者ライセンス講習を履修するかたわら、呂比須はブラジル国内の多くのクラブの監督を務めてきた(編集部・注/彼がすでに取得していたサンパウロ州協会の指導者ライセンスがあれば、ブラジル国内のあらゆるレベルの監督を務めることが可能になる)。
 
 2013年2月にはサンパウロ州選手権2部のコメルシアウ、4月から10月までサンパウロ州選手権1部のサンベルナルドを指揮。昨年1月から4月までは、サンパウロ州選手権1部でボタフォゴを率いて、名門パルメイラスなどを下してベスト8に食い込んだ。
 
 そして、こうした仕事ぶりが評価され、昨年5月、全国リーグ1部のクリシューマの監督に招聘された。チームは開幕2試合に連敗しており、再建を託されたのである。
 
「日本人がブラジル全国リーグ1部のチームの監督を務めたのは僕が最初。誇らしかったよ」
 
 就任直後の10試合は4勝2分2敗と好調だった。しかし、そこから7試合続けて白星から見放されてしまい、8月に解任されてしまう。
 
 それでも、すぐに全国リーグ2部のアトレチコ・ゴイアニエンセから声がかかった。チームを引き受けた20節終了時点で20チーム中14位に沈んでいたが、就任後の17試合で10勝4分3敗の快進撃。最終戦の結果次第では4位に食い込み、奇跡の1部昇格を実現できるところだったが、チームは惜敗して、7位にとどまった。
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