【川崎】“稀有な存在”中村憲剛が示したサッカー選手の在り方。期待したいラストダンス

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2020年11月02日

止める・蹴るを磨き続けたキャリア

2017年には念願のリーグ制覇。記憶に残る瞬間だった。(C)SOCCER DIGEST

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 今後はシーズン終了までの残り2か月、タイトル獲得へ全力を注ぐことになる。首位を独走するチームはリーグ優勝間近であり、今季は変則的に行なわれる天皇杯制覇も視野に入れる。順調に勝ち抜けば2021年元日が中村のラストマッチとなるのだ。

 だからこそ、彼のプロキャリアを振り返るにはまだ早い気もする。ただ、本人の言葉を借りれば、駆け抜けた18年は「身体が小さかったり、線が細かったり、身体能力が高くなくてもJリーグで40歳までやれるという足跡を残せたのは、自分のなかではすごく誇れるかなと思います。いろんな子ども、学生たちに希望を与えられたと思っています」とのことだ。

 そして「サッカーが上手くなりたい一心でここまで走れてきましたし、サッカーが大好きだという想いは今でも変わっていません。その気持ちが一番」と続ける。そのサッカー人生は、小学生の頃から自らの代名詞である“止める・蹴る”を磨き続け、技術力を活かしたプレースタイルを極める“努力の結晶”でもあった。

 以前にサッカーダイジェストの企画で“天才プレーヤーの定義”について話を聞いたことがある。そのなかでの自己分析も実に印象深い。

「自分は絶対に天才ではないんです。彼らに憧れて彼らのようになりたいと努力をしてきた人間ですから。いわゆるコツコツ型。ずっと止める・蹴るを練習してきました。カテゴリーが上がる度に壁にはぶつかってきましたが、自分がやるべきことは変えなかった。変えられなかったと言っても良いかもしれませんが(苦笑)。

 大事なのは自分の特長を把握して突き詰めること。やっぱり基礎がなによりも大切。そういう意味では僕のプレースタイルは目指せると思うんです。自分は身体の小ささや身体能力の低さに悩んだ人間でしたから。でも考え方や努力の仕方でひっくり返すことができるはずです」

 その技術論は日本サッカー界にとって非常に貴重で、改めて「自分の持っている考え方は、今後、育成のほうでも力になれればと思っています。見るところや、メンタルのところ、負けず嫌いなところも大事。そういう面も伝えていきたいです」と話す。
 ちなみにこれまでのプロ人生で、最も印象に残っているのはやはり2017年に果たした念願のリーグ制覇の瞬間だという。加えて記憶に残るゲームも数多くある。

「優勝した時もそうですし、フロンターレでデビューした時のことも今でも色褪せていません。広島のビッグアーチでファーストプレーはスローインでしたが、今でも覚えています。Jリーガーになれたんだなと。それに昨日の試合もそうですし、エスパルス戦もそうですし、怪我をしてから戻って来て見える景色が違うというか、視野が広がったと思っているので、挙げればキリがないです」

 そして思い出に残るゴールも枚挙にいとまがない。

「パっと浮かんだのは、息子が生まれた時、国立競技場でレイソルとやってFKを決めたこと。あとはルーキーの時にアウグスト選手からポーンときたロングボールを、右足のダイレクトボレーで決めたゴールは人生のベスト3に入ると思っています。代表の初ゴールもすごく記憶に残っていますし、ガンバのサヨナラFKも覚えていますし、この間のエスパルス戦も、昨日も、もうキリがないです」
 
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