絶望的とされるハンブルクですらひとつの勝利で…

88分に決勝点が決まり、ハンブルクの残留が決まった昨シーズン最終節。スタジアムは祝賀会と化し、酒井は安堵と喜びの涙を流した。このようなドラマが今春も見られるだろうか。 (C) Getty Images
対するマインツは、前節ボルシアMG戦で、これまで鳴りを潜めていた、情熱的でアグレッシブなプレッシングサッカーが見られた。豊富な運動量と素早い攻守の切り替え、精力的かつ積極的な守備ができる選手を中心にピッチに送り、好プレーも多かった。
だが、大きな問題なのが、4試合連続でノーゴールという得点力の低さ。チーム内得点王の武藤嘉紀は前節、太もも裏の負傷でメンバー外となったが、今節での復帰も厳しそうだ。
監督のサンドロ・シュバルツは、「この前の試合に出ていたのと同じメンバーで、より良いプレーすることは十分に可能だ」と語っていたが、アウェーでも同じように、躍動感のあるサッカーを見せることができるだろうか。
4クラブのうち、一番苦しい状況にいるとされているのがハンブルクだ。今シーズン3人目の監督となるクリスティアン・ティッツは、ベテランの経験よりもフレッシュな若手の躍動感に賭け、「我々には、前への道しか残っていない」と、危険なまでの勇敢さに希望を見出そうとしている。
前節のシュツットガルト戦では、先に主導権を握って先制点を奪ったところまでは良かったが、最終的には1-1の引き分けに終わり、15試合連続で勝利がない。
さすがにドイツでは、絶望的な記事ばかりが目に付くが、以前よりもマイボールを大事にしており、試合内容は間違いなく良くなっているだけに、ひとつの勝ち星をきっかけに、連勝することも十分にありうる。
昨シーズンもハンブルクは最終節、ヴォルフスブルクに土壇場で勝利したことにより逆転残留を果たし、ヴォルフスブルクもまた、(2部リーグ3位との)入れ替え戦を生き延びた。最後の最後まで、どうなるか分からないのだ。
厳しい状況でも、自分たちが信じられるものを築き上げられるかどうか。それが、それぞれの命運を左右することになりそうだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
だが、大きな問題なのが、4試合連続でノーゴールという得点力の低さ。チーム内得点王の武藤嘉紀は前節、太もも裏の負傷でメンバー外となったが、今節での復帰も厳しそうだ。
監督のサンドロ・シュバルツは、「この前の試合に出ていたのと同じメンバーで、より良いプレーすることは十分に可能だ」と語っていたが、アウェーでも同じように、躍動感のあるサッカーを見せることができるだろうか。
4クラブのうち、一番苦しい状況にいるとされているのがハンブルクだ。今シーズン3人目の監督となるクリスティアン・ティッツは、ベテランの経験よりもフレッシュな若手の躍動感に賭け、「我々には、前への道しか残っていない」と、危険なまでの勇敢さに希望を見出そうとしている。
前節のシュツットガルト戦では、先に主導権を握って先制点を奪ったところまでは良かったが、最終的には1-1の引き分けに終わり、15試合連続で勝利がない。
さすがにドイツでは、絶望的な記事ばかりが目に付くが、以前よりもマイボールを大事にしており、試合内容は間違いなく良くなっているだけに、ひとつの勝ち星をきっかけに、連勝することも十分にありうる。
昨シーズンもハンブルクは最終節、ヴォルフスブルクに土壇場で勝利したことにより逆転残留を果たし、ヴォルフスブルクもまた、(2部リーグ3位との)入れ替え戦を生き延びた。最後の最後まで、どうなるか分からないのだ。
厳しい状況でも、自分たちが信じられるものを築き上げられるかどうか。それが、それぞれの命運を左右することになりそうだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。