サイドはひとつのセットで、一方が欠けると機能しないことも…
選手が選手を輝かせる。
たとえ選手個人のポテンシャルが上がっても、連係の度合いが落ちる場合、プレーレベルが低下する可能性が高いのだ。
例えば、昨シーズンの松本山雅は、左サイドに特長のあるチームだった。左CB、左アウトサイドに左利きの選手を配置。それによって、ボールの巡りが左右から巻き起こり、安定した攻守を見せた(左サイドに左利きの選手を置くのは欧州ではスタンダードだが、Jリーグでは珍しい)。
しかし今シーズンの開幕戦、松本は左サイドに効果的なプレーが生まれなかった。左CBに新入団のヨ・ソンヘ、昨シーズンまでは左シャドーに入っていた右利きの石原崇兆……。これはふたりが悪かったというより、連係が浅く、高いレベルで噛み合っていないことが原因だろう。
昨シーズンまでふたりの左利きで起こしていた感覚が、今回はズレた。興味深いのは、左サイドが機能しないことでチーム全体も精彩を欠いていた点だろう。
松本の反町康治監督は調整力に長け、緻密な守備(状況次第のプレッシングとリトリートの併用)とセットプレーの精度などは瞠目に値するだけに、どこかで正解を導き出すはずだが……。
サイドはひとつのセットで、どちらかが欠けても機能しない場合がある。とりわけ、サイドハーフか、SBか、いずれかの選手が戦術的にクレバーで、片方の選手の良さを引き出していた場合、その低下は顕著に見られる。
選手は個だが、お互いが共鳴し合って存在しているのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
たとえ選手個人のポテンシャルが上がっても、連係の度合いが落ちる場合、プレーレベルが低下する可能性が高いのだ。
例えば、昨シーズンの松本山雅は、左サイドに特長のあるチームだった。左CB、左アウトサイドに左利きの選手を配置。それによって、ボールの巡りが左右から巻き起こり、安定した攻守を見せた(左サイドに左利きの選手を置くのは欧州ではスタンダードだが、Jリーグでは珍しい)。
しかし今シーズンの開幕戦、松本は左サイドに効果的なプレーが生まれなかった。左CBに新入団のヨ・ソンヘ、昨シーズンまでは左シャドーに入っていた右利きの石原崇兆……。これはふたりが悪かったというより、連係が浅く、高いレベルで噛み合っていないことが原因だろう。
昨シーズンまでふたりの左利きで起こしていた感覚が、今回はズレた。興味深いのは、左サイドが機能しないことでチーム全体も精彩を欠いていた点だろう。
松本の反町康治監督は調整力に長け、緻密な守備(状況次第のプレッシングとリトリートの併用)とセットプレーの精度などは瞠目に値するだけに、どこかで正解を導き出すはずだが……。
サイドはひとつのセットで、どちらかが欠けても機能しない場合がある。とりわけ、サイドハーフか、SBか、いずれかの選手が戦術的にクレバーで、片方の選手の良さを引き出していた場合、その低下は顕著に見られる。
選手は個だが、お互いが共鳴し合って存在しているのである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。