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【小宮良之の日本サッカー兵法書】CLでの大差スコアを生み出した、パリSGの良策、バルサの愚策

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年03月01日

“策士”エメリの下、パリSGは攻守でバルサの弱点を突いた。

的確な策によって持てる力を存分に発揮したパリSGと、指揮官自らが持ち味を消してしまったバルサ……。その結果、拮抗した勝負が予想されたタレント集団の対峙は、思わぬ一方的なスコアで終わった。 (C) Getty Images

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 現在、欧州ではチャンピオンズ・リーグ(CL)、決勝トーナメント1回戦の激闘が繰り広げられている。
 
 そんななか、第1レグではパリ・サンジェルマンがバルセロナを本拠地で4-0と撃破。この結果は「大番狂わせ」として、世界中に伝えられた。
 
「惨劇」
 
 スペインのスポーツ紙は、バルサの敗北をそう評したほどだ。カンプ・ノウに戻っての第2レグは残っているが、逆転はかなり難しいだろう。
 
 では、なぜスペイン王者バルサは、ここまでの大敗を喫したのか?
 
 パリSGはフランス王者であり、有力選手も数多く揃えている。その選手たちが、チームとして鍛えられていた。ウナイ・エメリ監督は策士として有名で、昨シーズンはセビージャの監督としてバルサを破っている。
 
 何より、このスペイン人指揮官の守備戦術は際立っていた。
 
 まずはハイプレスでボールの出所を潰して、バルサ自慢のビルドアップを寸断。前線トリオ「MSN(リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)」という機動力のある大砲を、「弾を込められない無用の長物」にせしめた。
 
 もちろん、エメリ監督は自陣に攻め込まれることも想定していた。プレスが効かない状況ではリトリートし、ブロックを作って、入ってきた選手の行く手を塞いだ。何層もの“堀”を作って、バルサの攻撃を跳ね返したのだ。
 
 特筆すべきは、エメリの狙いが「守り切ること」ではなかったということ。分厚い守備によって、攻撃を“旋回”させた。
 
「ネイマールの背後は、守りが薄くなる」
 
 それを、エメリは見抜いていた。ネイマールにボールを持たせた後、激しく奪い取ったら裏へ、というのは共通理解だった。
 
 事実、先制点はその計が成功した。ネイマールの裏のスペースを攻め立て、左インサイドハーフのアンドレス・イニエスタを釣り出し、真ん中の守備を薄くする。そこに出たボールをキープし、バルサDFのファウルを誘発。FKから、アンヘル・ディ・マリアが左足で突き刺した。
 
 パリSGの戦い方は、バルサの選手たちの焦りを誘った。メッシは途中から、自陣まで下がってボールを受け、ゲームメイキングに参加しようとした。前線にいてもボールが届かず、ジリジリとした思いだったのだろう。どうにか、行き詰まる状況を打開しようとした。
 
 しかし、前に運ぼうとしたところで、アドリアン・ラビオとマルコ・ヴェッラッティのダブルチームに遭い、ボールを奪われてしまい……。
 
 逆にパリSGは、カウンターで2点目を挙げ、その後もさらに同じ展開から2発を叩き込んだ。
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