【セルジオ越後】久保建英に特化した報道に違和感。メディアは彼を守ってあげられるの?

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェスト編集部

2017年03月10日

“15歳”や“中学3年生”という賞味期限も、そろそろ終わるよ。

U-20代表の一員として、FC東京とのトレーニングマッチで1得点した久保だけど、メディアはちょっと騒ぎすぎなんじゃないのかな。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト編集部)

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 今年5月のU-20ワールドカップに出場するU-20代表が、3月7日と8日にトレーニングキャンプを実施したね。8日にはFC東京とのテストマッチが行なわれて、2-0で勝利した。
 
 そのゲームで、U-17代表から飛び級で招集された久保建英がゴールを決めて、メディアはこぞって「久保がゴール!」と報じていた。
 
 でも、ちょっと騒ぎすぎなんじゃない? U-20代表の“広告塔”になってしまっているというか、ニュースにできる素材は彼しかいないのかな。久保が呼ばれていなかったら、今回のトレーニングキャンプもここまで報道されていなかったかもしれないね。
 
 2020年の東京五輪の看板選手にしたいんだろうけど、これまで何度も言ってきたように、結局メディアはスターが欲しいんだ。でも、そもそも久保は、プロとしてまだこれといった結果を出していない。今回も練習試合で1点決めただけだ。
 
 ゼロックス・スーパーカップの前座試合でもあった、U-18Jリーグ選抜対高校サッカー選抜の試合にも出場していたけど、特筆すべき活躍は見せられなかったよね。
 
 J1でデビューできれば、また見方は変わってくるんだろうけど、大久保や永井、ピーター・ウタカら実力者がいるなかで、彼らとの競争に勝てるかどうかも未知数だ。J3には出たことがあるかもしれないけど、これからのキャリアを考えればほんの通過点に過ぎないし、そこに価値はほとんどない。
 
 メディアとしては“15歳”や“中学3年生”というキャッチーなフレーズを付けられるのが大きいんだろうね。でもその賞味期限も、そろそろ終わる。6月には16歳になるけど、そうなると、もう珍しさはなくなる。
 
 久保に責任はまったくない。彼にあるのはポテンシャルで、プレッシャーにさらされながらも、本当に頑張っていると思う。だからこそ、彼を取り巻く今の状況は正常ではないし、かわいそうとさえ思う。
 
 注目するだけしておいて、未来のスターだと持ち上げる。もし仮に、久保がその期待に応えられなかったとして、最終的に犠牲になるのは久保本人だ。その時、メディアは彼を守ってあげられるのか。日本サッカーの将来を担うかもしれない選手を“使い捨て”するようなことだけは、絶対にしてほしくないね。

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