「試合を決めるのはあいつだと思っているから」

献身的なサポートで齋藤(10番)の能力を最大限に引き出そうとする金井(13番)は、守備的なポジションならどこでもこなすユーティリティ。戦術の幅を広げる今季の横浜のキーパーソンだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)
「いや、普通の学ですよ。背番号が変わっても変わらなくても、学は学なんで」
横浜で絶対的な存在だった中村俊輔が磐田に移籍し、その中村が担っていた「キャプテン」と「背番号10」を継承したのが齋藤だ。もっとも、大役を引き受けた男の姿は、旧知の間柄である金井の眼には特別に映っていないようだ。
それでも、金井なりの考えはある。
「でも、少なからず背負っているものはあるはず。その重みを少しでも軽くさせるとは言わないけど、プレーに集中できるように、好きにやれるというか、あいつが楽しくできるように。そこも自分としては心がけるようにしています」
浦和戦の63分、右サイドのマルティノスからサイドチェンジが入る。中央の天野純が反応したが、やや球足が長く追いかける形に。流れたボールにすかさず反応した金井が、迷いなくダイレクトで右足を振り切る――浦和の守備陣を置き去りにするドンピシャのパスが齋藤の足もとに収まった。
結局、GKと1対1になるビッグチャンスを齋藤は決め切れなかった。
「しっかり叱っておきました(笑)」と、言葉の意味とは真逆の柔らかい笑顔を見せた金井は、齋藤への揺るぎない信頼感を口にする。
「でも、試合を決めるのはあいつだと思っているから。“違い”を生み出せる選手なので」
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
横浜で絶対的な存在だった中村俊輔が磐田に移籍し、その中村が担っていた「キャプテン」と「背番号10」を継承したのが齋藤だ。もっとも、大役を引き受けた男の姿は、旧知の間柄である金井の眼には特別に映っていないようだ。
それでも、金井なりの考えはある。
「でも、少なからず背負っているものはあるはず。その重みを少しでも軽くさせるとは言わないけど、プレーに集中できるように、好きにやれるというか、あいつが楽しくできるように。そこも自分としては心がけるようにしています」
浦和戦の63分、右サイドのマルティノスからサイドチェンジが入る。中央の天野純が反応したが、やや球足が長く追いかける形に。流れたボールにすかさず反応した金井が、迷いなくダイレクトで右足を振り切る――浦和の守備陣を置き去りにするドンピシャのパスが齋藤の足もとに収まった。
結局、GKと1対1になるビッグチャンスを齋藤は決め切れなかった。
「しっかり叱っておきました(笑)」と、言葉の意味とは真逆の柔らかい笑顔を見せた金井は、齋藤への揺るぎない信頼感を口にする。
「でも、試合を決めるのはあいつだと思っているから。“違い”を生み出せる選手なので」
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)