【川崎】中村憲剛が宇宙と生交信する理由。川崎が仕掛けるスポーツによる幸せ作りとは?

カテゴリ:Jリーグ

手嶋真彦

2016年08月13日

住民2万7000人の町で6万人のスタンドが満席に。

甲府戦では歌手の平原綾香が『ジュピター』を歌った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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「ヴァンフォーレ甲府戦には、漫画『宇宙兄弟』の作者・小山宙哉先生が特別にデザインしてくれた〝宇宙服ユニホーム〞で臨みます。ハーフタイムショーでは、歌手の平原綾香さんが『ジュピター』を歌ってくれるんです」
 
 広告代理店やイベント会社を通さず、宇宙に関連したこれだけ多種多様の手がこんだラインナップを揃えるのに、天野はどれだけの手間暇をかけてきたのだろうか。試合もショーもイベントも、始まればあっと言う間に終わってしまう。しかし、そこに至るまでの準備に費やした労力たるや、並大抵のものではない。情熱を燃やし続ける天野を支えてきたのは、そして奮い立たせてきたのは、どんな思いなのだろうか。
 
 天野がスポ―ツの真価に目覚めたのは、日本の高校を卒業後、アメリカの大学に進学してからだ。至る所で目の当たりにしたのは、カレッジスポーツの〝求心力〞だった。アメリカンフットボールやバスケットボールなどの学生スポーツが、地域住民の生き甲斐になっていたのだ。
 
「足腰がもう覚束ないお年寄りの軍団が、若者と同じキャップを頭に乗っけて、ぜんぜん似合ってないスタジアムジャンパーを羽織って、試合の前日から興奮しまくっているわけですよ。スタジアム周辺のいろんなところで、夜中までバーベキューの煙が立ち上っていて、はしゃぎすぎて当日はスタンドまで来れなかったり(笑)、試合の一番良いところで居眠りしちゃってたり(笑)。

 でも、とにかく楽しんでいる。まだちっちゃい赤ん坊にユニホームを着せて、会場まで連れてくる親も普通にいて、年齢の幅が本当に広いんです。それこそ0歳児から死ぬまで、誰もがスポーツに染まってる。だからといって、全員が試合をちゃんと観ているわけではないんですよ。応援だってちゃんとはしない。何が大事かと言えば、スポーツが人々のエンジョイする場を提供していること。日本からまったく予備知識がないまま、ノコノコとやってきた若造には、衝撃でしたね。スポーツはこんなに楽しいものなんだって―」
 
 天野が入学したワシントン州立大学は片田舎の町にあり、当時で学生2万3000人、職員4000人の計2万7000人が住民だった。それがアメフトの試合当日ともなれば、大学構内にある6万人収容のスタジアムがほぼ満席となる。近隣の住民がわんさと押し寄せてくるからだ。キャンピングカーで前泊する気合の入った人も少なくない。しかも、スポーツの選り好みはせず、年中やってくる。
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