今季から小林伸二監督が就任しましたが、僕らとしてはもちろんウェルカムです。小林さんは静岡の人ではないし、志向するサッカーもこれまでの清水のものとは違ってくるかもしれない。それでも、チームの現状を考えるならベストの選択だったと思っています。

　一方でウチは、個々にはいい選手がいますが、飛び抜けて能力が高いわけではなく、チームとしてまとまっているわけでもない。そのくせ、プライドだけはある（苦笑）。歴代の外国人監督も「清水は特殊だ」と言っていましたが、分かる気がします。ゼロベースでチームを作り直すという意味でも、僕は小林さんに期待しています。

「王国」復活の条件ですか？　いやあ、今はとても「王国」と呼べる状況ではないですけど、特に今季は「勝つこと」が最優先ですね。

　かつての清水なら「見ていて楽しいサッカー」とか「相手を圧倒して勝利」というのがある種の不文律でしたけど、もはやそういう時代ではないし、そもそもJ２ですから（笑）。いろんな意見はあると思いますけど、「つまらないサッカーでも勝つ」というのが、今季は特に求められると思います。

　もちろん、現状を肯定するつもりはないです。気がついたら、磐田の下のカテゴリーにいるわけだし。でも、だからこそ変わらなければならない。「サッカーの質では負けない」とか、そういうことじゃなくて、今はとにかくすべての試合で勝点１以上を拾っていかないといけない。それくらいの気持ちで、僕らは再出発する覚悟が必要なんだと思っています。

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■座右の銘：人生バンジージャンプ
■歴代で最も尊敬する監督：オズワルド・アルディレス
■歴代で最も愛した選手：カルロス・サントス
■最も記憶に残る試合：1996年９月25日　ヤマザキナビスコカップ決勝　対ヴェルディ川崎戦（国立競技場）
■理由：92年にエスパルスが発足して以来、ようやく初タイトルを獲得！　３-３のスコアで延長戦でも決着がつかず、PK戦を制しての優勝でした。特にナビスコは過去２回、決勝で敗れていただけに喜びもひとしおでしたね。
 
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宇都宮徹壱／うつのみや・てついち　1966年、東京都生まれ。97年より国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。近著に『フットボール百景』（東邦出版）。自称、マスコット評論家。公式メールマガジン『徹マガ』。http://tetsumaga.com/