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浦和レッズひと筋の男、山田暢久が引退後に歩んだ紆余曲折。現在は熱き指導者として奮戦中「進路も一緒に考えないといけない」

カテゴリ:Jリーグ

河野 正

2023年05月16日

「この年代と向き合う難しさを痛感している」

浦和で“ワンクラブマン”を全うした。2013年、惜しまれつつスパイクを脱いだ。(C)SOCCER DIGEST

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 14年2月1日付で浦和の強化部に配属され、スカウトの傍ら育成年代の指導を補佐した。

 翌15年にはユースチームのサポートコーチに就任。火曜から金曜までアカデミーの指南役を務め、土・日曜は高校生と大学生の試合を視察するため、全国各地を飛び回った。現在アルビレックス新潟でブレイク中のMF伊藤涼太郎は、岡山・作陽高校時代の15年に山田が獲得した最初の選手だ。

 当時、スカウトとしての心得をこんなふうに話していた。

「高校生は試合ごとに出来、不出来があるので長い目で見てあげないといけない。人とは違う発想力があり、成長したら面白い選手になるな、という視点で見ています。大学生は即戦力として考えている」

 伊藤が頭角を現わしたのが、新潟に移籍したプロ7年目の昨シーズン。山田の目利きは正しかった。

 16年も強化部に籍を置いたが、翌年2月に離職する。

 日本サッカー協会公認の指導者資格A級ジェネラルを有する山田は、19年1月から埼玉県川越市のスクールで小学生らの指導に当たった。ところが転身してから間もない同28日、神奈川県社会人リーグ1部に昇格したイトゥアーノFC横浜の監督を打診される。6日後には天皇杯予選につながる公式戦を控える火急の要請ではあったが、ゆくゆくは指導者を目ざしていただけに快諾。引退から6年後に新人監督が誕生した。

 1年目は10チーム中7位。2年目の20年は、新型コロナウイルス感染拡大で思うように練習できなかったが、首位と勝点3差の4位に躍進した。2月16日の神奈川県社会人選手権決勝ではCBで現役復帰し、横浜FCなどで活躍した大型FW大久保哲哉をマンマーク。3年目は3位に順位を上げたものの、関東リーグ2部昇格につながる関東社会人大会出場を逃したこともあり、21年をもって契約満了となった。

 山田は監督業の難しさについて「監督の仕事というより、主力の大学生が就職活動でごっそり退団したし、学生はアルバイトで多忙だから、全員そろって練習することがほとんどなかった。頭を痛めたのはそういうところですね」と苦笑いした。
 
 昨夏から浦和で3シーズン同僚だった2つ年下の佐藤太一さんとともに、埼玉県幸手市を拠点に活動するRebola(リボーラ)フットボールクラブのスクールで指導を始めた。同クラブは中村彰宏代表が10年5月に設立。佐藤さんと中村さんは、幸手市の上高野スポーツ少年団時代からの竹馬の友でもある。

 昨年7月から小学6年生のスクールで講師をしていると、中村代表がジュニアユースの立ち上げを切り出し、今年4月から山田監督の下でスタートする運びとなった。2度のセレクションと体験練習会を実施し、27人の新中学1年生が加入した。

 4月から本格的な活動を開始。練習は火曜と木曜の午後6時半から2時間行なうほか、土・日曜はトレーニングマッチか練習に充てる。指導陣は山田監督をはじめ、佐藤、中村両コーチとGKコーチの4人体制だ。

 山田監督は浦和の強化部時代、高校生の指導を補助した経験はあるが、中学生を教えるのは初めて。「難しいこと? うまく言葉が伝わらないので、できるだけ分かりやすくかみ砕いて説明するように心掛けている」と即答すると、「中学生はサッカーだけ教えればいいというものではなく、人としても成長してもらいたいから、教育的な配慮も重要なんです。3年生になったら進路についても一緒に考えないといけない。この年代と向き合う難しさを痛感している」と顔付きを変えた。

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