今冬か、来夏か、再来年か? 本田の去就は指揮官の処遇次第。

この2試合では実力を示すためのわずかな機会も与えられなかった本田。ミランでの命運は尽きたといわれるが、指揮官の窮地が彼の境遇に変化を与える可能性はあるだろうか。 (C) Getty Images
ガッリアーニ副会長はヴェローナ戦の前夜、こうコメントした。
「今のチームは非常に優秀で、欧州カップ出場権を狙うだけの力を十分に持っている。だから、我々の目標は変わりない」
これはミハイロビッチに対し、釘を刺すための発言に他ならない。
またその数日後には、ミハイロビッチをどのように評価しているかとの質問に対し、「今のミランには、その地位に安住できるものなど存在しない」と答えている。
これに対してミハイロビッチは、ヴェローナ戦前日の記者会見で“地雷”を踏んでしまった。
「ベルルスコーニ・オーナーは、私が許可をしているからテクニカルな発言ができるのだ」
ミハイロビッチの言い方がかなり真剣だったこともあり、会場は一瞬にして凍りついた。案の定、その翌日に彼は、しっぺ返しを食らうこととなる。
「彼(ベルルスコーニ)はミランのオーナーの座に就いて30年になる。“新参者”は我々のやり方に従うべきだ」
このガッリアーニの発言は、ミハイロビッチへの厳格な命令である。ここからも、監督とチーム幹部の関係が今どうなっているか、お分かりいただけるだろう。
フロント陣はまた、ヴェローナ戦後にミハイロビッチが主審のジャッジを激しく非難したことに対して、不快に思っている。こういうやり方は、ミランのスタイルに反するからだ。
もし、ミランが今週木曜日のサンプドリア戦に敗れてコッパ・イタリから敗退し、日曜日のセリエAでフロジノーネ(これまた下位チームだ)に敗れれば、ミハイロビッチのクビはかなり危うくなるだろう。
ここまで彼が解任されなかった理由は、ベルルスコーがシーズン途中で監督を代えることを好まないこと、そしてミランが解雇した2人の監督、セードルフとインザーギの給料をいまだ払い続けているからである。ミハイロビッチをクビにするということは、来年の6月までミランが、4人の監督のサラリーを負担することを意味する。
それでも、もしミハイロビッチが辞めたら?
何人かの選手の境遇は変わってくるだろう。ベンチ滞在記録を伸ばしている本田も、そのうちのひとりだ。
本田は、セリエAの11試合で、ほとんどの時間をベンチで過ごしている。コッパ・イタリアのクロトーネ戦ではフル出場したが、その内容はひどかった……。
ここまで出場した16試合でのプレー時間を全て合わせても、たったの313分。これはミランのトップチーム28人のなかで、19番目の少なさだ。
そんな状況でも、チームから聞こえてくるのは相変わらず、「本田は少なくとも、来年6月まではミランに残る」というものだ。
そして来夏、もしその時点でミハイロビッチがミランにいなければ、あるいは2017年の契約満期まで残るという可能性もありうるかもしれないが、果たして……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
「今のチームは非常に優秀で、欧州カップ出場権を狙うだけの力を十分に持っている。だから、我々の目標は変わりない」
これはミハイロビッチに対し、釘を刺すための発言に他ならない。
またその数日後には、ミハイロビッチをどのように評価しているかとの質問に対し、「今のミランには、その地位に安住できるものなど存在しない」と答えている。
これに対してミハイロビッチは、ヴェローナ戦前日の記者会見で“地雷”を踏んでしまった。
「ベルルスコーニ・オーナーは、私が許可をしているからテクニカルな発言ができるのだ」
ミハイロビッチの言い方がかなり真剣だったこともあり、会場は一瞬にして凍りついた。案の定、その翌日に彼は、しっぺ返しを食らうこととなる。
「彼(ベルルスコーニ)はミランのオーナーの座に就いて30年になる。“新参者”は我々のやり方に従うべきだ」
このガッリアーニの発言は、ミハイロビッチへの厳格な命令である。ここからも、監督とチーム幹部の関係が今どうなっているか、お分かりいただけるだろう。
フロント陣はまた、ヴェローナ戦後にミハイロビッチが主審のジャッジを激しく非難したことに対して、不快に思っている。こういうやり方は、ミランのスタイルに反するからだ。
もし、ミランが今週木曜日のサンプドリア戦に敗れてコッパ・イタリから敗退し、日曜日のセリエAでフロジノーネ(これまた下位チームだ)に敗れれば、ミハイロビッチのクビはかなり危うくなるだろう。
ここまで彼が解任されなかった理由は、ベルルスコーがシーズン途中で監督を代えることを好まないこと、そしてミランが解雇した2人の監督、セードルフとインザーギの給料をいまだ払い続けているからである。ミハイロビッチをクビにするということは、来年の6月までミランが、4人の監督のサラリーを負担することを意味する。
それでも、もしミハイロビッチが辞めたら?
何人かの選手の境遇は変わってくるだろう。ベンチ滞在記録を伸ばしている本田も、そのうちのひとりだ。
本田は、セリエAの11試合で、ほとんどの時間をベンチで過ごしている。コッパ・イタリアのクロトーネ戦ではフル出場したが、その内容はひどかった……。
ここまで出場した16試合でのプレー時間を全て合わせても、たったの313分。これはミランのトップチーム28人のなかで、19番目の少なさだ。
そんな状況でも、チームから聞こえてくるのは相変わらず、「本田は少なくとも、来年6月まではミランに残る」というものだ。
そして来夏、もしその時点でミハイロビッチがミランにいなければ、あるいは2017年の契約満期まで残るという可能性もありうるかもしれないが、果たして……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト紙)
翻訳:利根川晶子
【著者プロフィール】
Marco PASOTTO(マルコ・パソット)/1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動を始める。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。