後半戦で問題が噴出したものの、新体制1年目でリーガを制覇。

リーガ優勝パレードでのメッシ。ひとり別次元で進化を遂げた彼の存在自体が、もはやバルサにとっての戦術だった。 (C) Getty Images

監督として初のタイトルとなるリーガを勝ち取ったビラノバ監督。このシーズンで得た数々の課題をクリアして、新たなバルサの黄金時代を創成しようと意気込んでいたが、残酷な運命がその先に待ち受けていようとは……。 (C) Getty Images
バルサの歴史に残る黄金時代を創成したジョゼップ・グアルディオラが監督の座を退き、彼の下でアシスタントコーチを務めたティト・ビラノバが昇格。新たな時代に向かって歩み始めたチームの舵取りを任されることとなった。
即戦力の補強は新指揮官が要求した左SB(ジョルディ・アルバ)、CBとMFをこなせるマルチロール(アレックス・ソング)に止まり、前任者が創り上げたポゼッション重視の攻撃サッカーを引き継ぎ、さらなる進化を狙った。
そして始まったリーガでは、開幕6連勝という好スタートを切る。6節のセビージャ戦では敵地で2点をリードされながらアディショナルタイムで逆転勝利を挙げるなど、さらなる勢いを得て、首位を快走した。
7節のクラシコを2-2で引き分けた後、そこから再び連勝街道を走り、数字を12まで伸ばしたバルサ。そのなかで驚異的なゴールラッシュを見せたのがリオネル・メッシだ。前半戦を終える時点で、すでに28ゴールを挙げていた。
前シーズンに50得点という大記録を成し遂げ、さらに2012年の年間得点数91がゲルト・ミュラーの記録(85)を40年ぶりに更新したメッシは、この年で4年連続のバロンドール受賞(これも新記録)を果たすなど、もはや完全に別次元の存在だった。
このシーズン、11節から出場した21試合全てでゴールを決めるというリーガ新記録を達成。そして最終得点数は46で(怪我がなければ2年連続の50超えは可能だっただろう)、2シーズン連続で得点王に輝くこととなる。
当然、バルサでも彼はアンタッチャブルな存在であり、ビラノバ体制でもメッシを活かすためのサッカーが展開されることになったが、そこから前体制でもそうだったように、徐々にメッシ依存の様相を強くしていく。彼が欠場すれば一気にチーム力は低下。セスク・ファブレガスの“偽9番”では、相手に脅威を与えることはできなかった。
またビラノバ監督は、ダビド・ビジャが欠場中はアンドレス・イニエスタ、セスク、シャビ、セルヒオ・ブスケッツの4人を同時にピッチに並べることが多かったが、バルサは前線からの守備が弱まり、徐々に最終ラインに負担がかかるようになる。後半戦になると、守備陣は疲弊し、相手に完全フリーでのシュートを許す場面も増えていった。
カンテラ出身選手が思ったほど成長せず、選手層に厚みを加えられないなど、問題も多く噴出したバルサだが、それでもリーガでは2位の宿敵レアル・マドリーに勝点15もの差をつけて2シーズンぶりの栄冠を手にした。
一方、チャンピオンズ・リーグ、国王杯ではともに準決勝で力尽き、とりわけ前者はバイエルンに2試合合計0-7で敗れ去るなど、ここからも後半戦での息切れ感が窺えた。
就任1年目で何とかリーガというタイトルの奪還に成功したビラノバ監督だが、11年にも手術した唾液腺に再び悪性腫瘍がシーズン中に見つかり、放射線治療のためにリーガ17節、21~29節で指揮をアシスタントのジョルディ・ロウラに任せることを余儀なくされた。
このことも、チームマネジメントがうまく機能しなかったという意味で、バルサが苦労する要因のひとつとなった。
治療を終えてベンチに戻って来たビラノバは、翌シーズンのチームの指揮にも意欲を見せ、上層部も続投を明言していたが、病魔がそれを邪魔することとなる……。
即戦力の補強は新指揮官が要求した左SB(ジョルディ・アルバ)、CBとMFをこなせるマルチロール(アレックス・ソング)に止まり、前任者が創り上げたポゼッション重視の攻撃サッカーを引き継ぎ、さらなる進化を狙った。
そして始まったリーガでは、開幕6連勝という好スタートを切る。6節のセビージャ戦では敵地で2点をリードされながらアディショナルタイムで逆転勝利を挙げるなど、さらなる勢いを得て、首位を快走した。
7節のクラシコを2-2で引き分けた後、そこから再び連勝街道を走り、数字を12まで伸ばしたバルサ。そのなかで驚異的なゴールラッシュを見せたのがリオネル・メッシだ。前半戦を終える時点で、すでに28ゴールを挙げていた。
前シーズンに50得点という大記録を成し遂げ、さらに2012年の年間得点数91がゲルト・ミュラーの記録(85)を40年ぶりに更新したメッシは、この年で4年連続のバロンドール受賞(これも新記録)を果たすなど、もはや完全に別次元の存在だった。
このシーズン、11節から出場した21試合全てでゴールを決めるというリーガ新記録を達成。そして最終得点数は46で(怪我がなければ2年連続の50超えは可能だっただろう)、2シーズン連続で得点王に輝くこととなる。
当然、バルサでも彼はアンタッチャブルな存在であり、ビラノバ体制でもメッシを活かすためのサッカーが展開されることになったが、そこから前体制でもそうだったように、徐々にメッシ依存の様相を強くしていく。彼が欠場すれば一気にチーム力は低下。セスク・ファブレガスの“偽9番”では、相手に脅威を与えることはできなかった。
またビラノバ監督は、ダビド・ビジャが欠場中はアンドレス・イニエスタ、セスク、シャビ、セルヒオ・ブスケッツの4人を同時にピッチに並べることが多かったが、バルサは前線からの守備が弱まり、徐々に最終ラインに負担がかかるようになる。後半戦になると、守備陣は疲弊し、相手に完全フリーでのシュートを許す場面も増えていった。
カンテラ出身選手が思ったほど成長せず、選手層に厚みを加えられないなど、問題も多く噴出したバルサだが、それでもリーガでは2位の宿敵レアル・マドリーに勝点15もの差をつけて2シーズンぶりの栄冠を手にした。
一方、チャンピオンズ・リーグ、国王杯ではともに準決勝で力尽き、とりわけ前者はバイエルンに2試合合計0-7で敗れ去るなど、ここからも後半戦での息切れ感が窺えた。
就任1年目で何とかリーガというタイトルの奪還に成功したビラノバ監督だが、11年にも手術した唾液腺に再び悪性腫瘍がシーズン中に見つかり、放射線治療のためにリーガ17節、21~29節で指揮をアシスタントのジョルディ・ロウラに任せることを余儀なくされた。
このことも、チームマネジメントがうまく機能しなかったという意味で、バルサが苦労する要因のひとつとなった。
治療を終えてベンチに戻って来たビラノバは、翌シーズンのチームの指揮にも意欲を見せ、上層部も続投を明言していたが、病魔がそれを邪魔することとなる……。

監督:ティト・ビラノバ(スペイン)
その他の主なプレーヤー:GK ピント、DF モントーヤ、プジョール、バルトラ、アビダル、MF チアゴ、アドリアーノ、ソング、ジョナタン、FW A・サンチェス、ビジャ、テージョ

シーズン前のEURO2012でも左サイドで躍動してスペイン代表の連覇に貢献したジョルディは、新天地バルサでもすぐに不可欠な存在となった。 (C) Getty Images
◎2012-13シーズン成績
リーガ:優勝(32勝4分け2敗・115得点40失点)
国王杯:準決勝敗退(対レアル・マドリー)
チャンピオンズ・リーグ:準決勝敗退(対バイエルン)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(46点)、セスク(11点)、ビジャ(10点)、A・サンチェス(8点)、ペドロ(7点)、テージョ(7点)、シャビ(5点)、アドリアーノ(5点)、イニエスタ(3点)、チアゴ(2点)、ピケ(2点)、ジョルディ(2点)、ブスケッツ(1点)、ソング(1点)、プジョール(1点)、モントーヤ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ジョルディ(←バレンシア)
MF ソング(←アーセナル)
◇OUT
夏
MF ケイタ(→大連)
MF アフェライ(→シャルケ)
冬
FW クエンカ(→アヤックス)
リーガ:優勝(32勝4分け2敗・115得点40失点)
国王杯:準決勝敗退(対レアル・マドリー)
チャンピオンズ・リーグ:準決勝敗退(対バイエルン)
チーム内得点ランキング(リーガ):メッシ(46点)、セスク(11点)、ビジャ(10点)、A・サンチェス(8点)、ペドロ(7点)、テージョ(7点)、シャビ(5点)、アドリアーノ(5点)、イニエスタ(3点)、チアゴ(2点)、ピケ(2点)、ジョルディ(2点)、ブスケッツ(1点)、ソング(1点)、プジョール(1点)、モントーヤ(1点)
◎主なトランスファー
◇IN
夏
DF ジョルディ(←バレンシア)
MF ソング(←アーセナル)
◇OUT
夏
MF ケイタ(→大連)
MF アフェライ(→シャルケ)
冬
FW クエンカ(→アヤックス)